家庭的な女 ページ36
「じゃあ麻倉さんがスパイだったりして」
石田くんがそう言った。
「……スパイって、なんのこと？」
「……いや、何かチラッとね。サクラグループに産業スパイが入り込んでるって聞いたことあって」
なんで石田くんが知ってるんだろう。
一応少し聞いておこうか。
「そうなの？なんか怖いね……」
「麻倉さん櫻井さんから何も聞いてないの？」
「私達そういう関係じゃないもの、共通のお友達のお話とか趣味の話をするくらいで」
嘘ついた。
けどまぁ嘘でもないか。
STMの取引先なら、共通の知人とも言える。
「そうなんだ……」
石田くんが私をじっと見た。
なんだ？
「櫻井さんによろしく伝えておいて」
「……うん。じゃあ、行くね」
急いでその場を去る。
石田くんスパイのこと知ってるんだ。
なんで知ってるんだろう。
どういうことよ？
櫻井さん、そんなおおっぴらにスパイ探してるの？それとも怪しい人全員に牽制して回ってるとか？
そんな馬鹿なことするかしら。
石田くんは味方にできるかどうかの判断は正直つきかねる。
犯人探しをする味方は多いほうがいい？
私なら。
答えは、ノーだ。
櫻井さんが色んなところに味方を作ってスパイを探すお手伝いさせていた場合。
手伝ってる人同士がお互いを疑って斬り合う可能性もある。
それを防ぐためにはチームを作るべきだ。けど人数は増えれば増えるほど統制が取れなくなるばかりか秘密の露呈の可能性は格段に上がる。
それに。その信用すべき仲間がスパイ側についてる可能性だってあるんだから。
考え事をしながらスタバの席を見たら、櫻井さんが先に来ていて、ふ、と手を上げた。
真顔で『よう！』と反応しそうになって慌てて照れ臭そうに微笑んで小さく手を振る。
「待ちました？」
「今来たとこだよ、場所変える？」
「うん」
「……俺ん家、来る？」
はぁ？マジで言ってんの？
ぶん殴ってやろうか。
私が左の眉だけクッと上がったのを見た櫻井さんが、慌ててウソだよ！って笑った。
「びっくりした」
「でも今度、手料理とか作ってくれたら嬉しいなー、何が得意？」
「えー、なんだろう。肉じゃが？」
「わー、いいじゃん、家庭的」
「……で釣ろうとする女も釣れる男も死ぬほど嫌い」
すごい低い声でそう言ったら櫻井さんが目を見開いて固まる。
「……」
「最近作ったのはマグロユッケ」
「……酒のつまみかよ……」
「……ご飯の話してたらお腹空いてきましたねー？」
櫻井さんが苦笑した。
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
