男に免疫のない女 ページ15
「ごめん、カーッと来ちゃった」
「カーッとなってたんですか？あれで？」
「Aちゃんの同期なのに失礼な態度取って申し訳ないことした……」
櫻井さんがちょっと落ち込んでる。
嘘でしょ、めちゃくちゃいい人じゃないか。
「彼のほうが余程失礼なので気にしないで大丈夫です」
「そうかなぁ」
「いいんです、彼とはちょっと昔ゴタゴタしたことありまして」
「……付き合ってた、とか？」
櫻井さんが私の手を掴んだままのことに気づいた様子で、慌ててごめん、っていいながら手を離す。
「そういう関係ではありません」
「……どういう関係？」
「ただの同期です……」
「……」
疑われてる。
でも奴のことを話すには、私が通ったあとには死屍累々と骸が転がってるみたいな性質だった私の過去を言わねばならない。
言えない。
それには順序、ってもんがある。
だって今の私は。
落ち着いたミルクティカラーのゆるふわセミロングの髪をふんわりアレンジさせて！
肌触りの良さそうな落ち感のあるブラウスにふんわりとしたスカートを着！
控えめなダイヤのピアスと仕事に邪魔にならない短めの爪にピンクのグラデーションとワンポイントのジェルネイル！
ほっぺにまあるくチークを入れてツヤツヤグロスにタレ目に見えるメイクしてるんだよ？
数年前の私が私を見たら、どうしたの頭の中お花畑にでもなっちゃったの？って聞くタイプの女子だもん！
「ああ、ごめん」
「へ？」
「目がうるうる……泣かないで……」
……すみません、私元々涙目なんですよね。
ってことは心にそっとしまっておこう。
「すみません……」
「あと、それと……勢い余って呼び捨てにしてごめん……」
「……」
そうでしたね。
うふ。
デレるのを我慢してうつむいたら、頭の上から、あー……ってがっかりしたような声がした。
「ごめん」
「謝らないでください」
「そういうの、困るよね？」
「大丈夫です」
「Aちゃんって男に免疫なさそうだもんね……申し訳ない……」
……。
男に免疫ないのは確かに。
けど多分櫻井さんが思ってる免疫のなさと私の免疫のなさは理由が違う！
櫻井さんの中の私は大人しくて、付き合うとかそんな……両想いじゃないと……無理だよ……みたいな感じだろうけど。
私の場合は、つまんねぇ男より、酒だ酒だ、酒もってこい！って一升瓶抱いて眠る系の免疫の無さだ。
一升瓶抱いて寝たことないけど。
ああ、訂正できない。
夢壊すの申し訳ない！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2804人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
