王子の反撃 ページ14
慌てて振り返る。
「あ、櫻井さん」
吉田くんが櫻井？と小声で復唱した。
「その人、知り合い？」
櫻井さんが怪訝な顔で吉田くんを見た。
「昔の同期です」
吉田くんが私を見てニヤニヤして、櫻井さんが吉田くんをチラチラ見てる。いたたまれない。
「櫻井さん、行きましょう」
飲みかけのラテを持って立ち上がったら吉田くんが大声で呟いた。
「サクラグループの御曹司は性悪女がお好みなんですかー、見る目ない」
……オイ。
櫻井さんがいなけりゃそのパソコン全画面選択して消去してそのまま上書き保存をショートカットキー使って2秒でするとこだった。
櫻井さんをありがたく思え。
「性悪女？」
「Aさんだよ、性格悪いでしょ」
「そんなことないよ？」
櫻井さんが困った顔をした。
私のことそんな知らないのに庇ってくれてありがとうございます。
「じゃあまだ知らないんだ」
「あのー、ちょっと聞いていいですか？」
櫻井さんが困った顔のまま言う。
何を聞くんだろう！なんで性悪なの？何したの？ねえねえAちゃんってどんな人？
っていつもの好奇心旺盛の彼が出たらどうしよう！
吉田くん、私の無双時代のこと話しそう！
言い訳する前に動けよ！って吠えたこととか？
飲みに行こうよって誘われて飲みに行く暇あるならこっちの仕事片付けろって嫌味言ったこととか？
「なんですか？」
ニタニタ笑う吉田くん。蹴り飛ばしたいのを我慢する。
「Aのことそれだけ言えるってことはあなたは自分がAより性格が良いと思っていらっしゃる？」
……えっ？私の名前呼び捨てっ？
今それに驚くとこじゃないけど呼び捨て？
思わず櫻井さんの横顔を見る。
カッコイイ。
「いや、こいつほんと終わってますよ、聞いたらわかると思いますけど、こいつ昔」
「ちょっといいですか？先にお名刺いただけますか？」
「……え」
「あ、僕櫻井っていいます」
櫻井さんが名刺を差し出す。
「あ、えっと……俺……名刺切らしてて……」
ワーオ。
すげえ！馬鹿だ！
櫻井さんがクスッと笑って口を開く。
「身元がハッキリしない方のお話は聞いても信用しないことにしていますので、これで失礼しますね、では」
「……は？」
うちの王子が失礼しますって言ってんだからお前もなんか言えよ。
櫻井さんが踵を返して私の腕をムンズと掴んで歩き出す。
「ごめん」
「え？なにが」
「なんか色々ごめん」
櫻井さんの口が尖ってる。
眉も下がってる。
可愛い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2805人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
