性格悪い女 ページ4
こいつ何が言いたいんだ？
「おまたせしましたー」
ビールが運ばれてきて、乾杯する前に半分くらい飲んでやった。
「……え、乾杯は」
「何に乾杯するの？言いたいことあるならハッキリ言って」
冷たくそう言ったら、吉田くんが私を見てバカにしたように笑う。
「ねぇ、将来どうすんの？」
「どうするって……なにが？」
「うちの会社、女性は課長になれないの知ってた?」
何が言いたいんだろう。
吉田くんがネクタイを緩めるのを不愉快な思いで眺める。
「前例がないだけでしょ」
「オレの叔父さん、うちの会社の役員なんだけどさ」
あー、なんだ、こいつコネか！
コネって人の3倍努力しないと、あいつコネだから優遇されてるんだなーって言われるから黙っときゃいいのに。
「Aさんは精々係長で頭打ちっていってたなぁ」
吉田くんは私の心の声も知らずに偉そうにそう言った。
「何で私の話してるのよ」
「叔父さんが話してた」
「なんて？」
「お前の同期に仕事できる奴がいると思ったら女で残念だって」
女で残念？
だんだんイライラしてきた。
「さっきから何が言いたいの」
「だから。そんな周り敵だらけにして仕事頑張っても何の得にもならないよって話」
「……」
じろじろ。
すごいじろじろ見てくる。不愉快。
「ねぇ、ところでさ！遊びって割り切った彼氏欲しくない？」
「……は？」
「あ！俺じゃないよ！俺はAさんは無理！俺気の強い女苦手……っていうかAさんの場合気が強いってより性格悪いよね」
な、何なんだこいつ。
「同期みんなに嫌われてるよ？」
「……はぁ」
なんでこんな話聞かされてるんだ。最悪。
「ねぇ」
「……」
返事もしたくない。
一杯だけ飲んでさっさと帰ろう。
「俺Aさんと周りを取りもって助けてあげてもいいけど」
「……」
「その代わり、と言ってはなんだけど……課長がAさんのこと気に入っててさ」
「……」
「課長なんてどう？付き合えなくても一晩だけでいいからさ」
……え。なにそれ。
「課長、既婚者だよね」
「いいじゃん。裏でAさんも結構遊んでんでしょ?」
う。気持ち悪くなってきた。
「……」
「実は課長にAさんを繋げること出来たら俺係長に推薦してもらえるかもしれなくて」
もう耐えられない。
ああ、馬鹿が伝染る。
「よくわかりました」
「え、じゃあ……」
「永遠にさようなら」
こうして。
私は翌日課長に辞表を叩きつけ、
バリキャリを諦めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2805人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
