エンパス(11/2) ページ37
暫く雑談の後、櫻井さんが中間さんに進展があったらご連絡します、と伝えて見送ることになった。
中間さんが帰り際、
「皆さん、くれぐれも怪我とかなさいませんように！ほんま気ぃつけてくださいね、特にAさん、一人になったらだめですよ！」
と言われてちょっと憂鬱。
ご飯を食べ終えて病院から出た。
みんな言葉少なく病院の敷地内を通り抜けて、病院の裏手に向かう。
雨が降ってきたせいか、ひと気は少なく誰にもすれ違うことなく病院の裏手についた。
昨日動物や小学生が入れないようにビニールテープで簡易に作ったバリケードは昨日の形のまま残ってある。
櫻井さんが、手に持ったカッターナイフでビニールテープを切り裂いて、傘を閉じて屈んで中に入る。
「狭……」
「つめたー」
大野さんもあとに続く。
松本さんと相葉さんも小さくなって穴を潜って行く。先に入った櫻井さんが立ち上がって穴をくぐる人に傘をさしてる。
立ち上がるときには手を差し伸ばして立ち上がらせてあげるというサービス付き。
「つぎA」
二宮さんがそう言った。
「ん」
私が屈んだら二宮さんも後ろからついてくる。
「つめた……」
雑草が足元を濡らして、雨の雫がぽたん、とこめかみを伝って落ちていく。
櫻井さんが立ち上がろうとする私にパッと手を差し伸べた。
拒むのも変、と手を伸ばす。
「ありがと……」
「A……？」
櫻井さんの戸惑った表情にどうしたんだろう？と思っていたら、次の二宮さんに櫻井さんが手を伸ばした。
「ありがと。あー、やれやれ、ちょっと濡れちゃったね、早く中に入ろ」
濡れた草や小さな水たまりを踏みしめて、櫻井さんがの背中に声をかける。
「さっき何か言いかけませんでした？」
「……裏切ったな……って思ってる……？」
「え？」
ドキッとして櫻井さんの顔を見たら櫻井さんが真剣な目で私をじっと見た。
「お前誰だ？」
「え、私」
「Aじゃなくて」
「え」
「アンナさんのときみたいに。お前の中にお前のじゃない違う感情がいる」
「……」
「ニノが女神様を憑依させるときは、ニノの感情に女神様が呼応するんだよ、だからニノは女神様をある程度コントロールしてることになる」
「……うん」
「けどAは無理だろ？女神様を降ろしたとき、完璧にのっとられてたじゃん？ニノ抱っこして心の中で女神様やめてーとか言ってた」
「うん」
「Aはテレパスじゃない……？」
櫻井さんが呟く。
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みつき - この章はにのと主人公ちゃんの絡みが好きなんです！これ読みたさにもう何度読んだことか！！ (2020年8月8日 7時) (
レス) id: 6d571bc65d (このIDを非表示/違反報告)
みに - こんにちは！もう無の証明4周目です！このお話本当に大好きで続編やビハインドストーリーも希望します！名前のところがAと表示されて変換出来ない状態なのでお知らせに参りました。お直ししていただけると嬉しいです。 (2020年6月2日 15時) (レス) id: 5d98a5a6f1 (このIDを非表示/違反報告)
nyaruru(プロフ) - 楽しみ過ぎてなかなか読み進めれなかったです。更新待ってました！と喜んでいたら、むか〜し高校生くらいのときに不思議だった話が出てきてびっくり！色の見え方や聞こえ方の話です。家族に話してみても共感されなくって、まさかここで出会えるとは感動しました (2019年11月8日 4時) (レス) id: d437e89628 (このIDを非表示/違反報告)
Chisa(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！ (2019年11月4日 4時) (レス) id: 660ab80a22 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - もう本当すごいです。情景がありありと浮かぶし、実写化してほしい。 (2019年11月2日 20時) (レス) id: 3159ad2d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月19日 17時
