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「二宮さんはいつもその……喰われるかもしれない不安を抱えて降ろしてる……？」
「……」
「ねぇまさか……」
「喰われたら気づいてね、俺じゃないって気づいてね」
たまらなくなって、思わず二宮さんの手をぎゅうっと握る。
「あれ？俺に惚れちゃった？」
「バカ……」
「Aか可愛いと調子狂っちゃう……」
「……」
……可愛いじゃん。この際Aでもいいから場所変えてあんなことやこんなこと……
二宮さんの感情がそこまで聞こえて、手を振り払おうとした瞬間。
バチッ！と静電気が。
「イッテ！」
「痛！」
二人同時に手を離す。
「えーちょっと待ってぇ、俺も痛かったんですけど弁天様」
二宮さんが左手をブンブン振った。
「二宮さんが良からぬことを考えたからでしょ、私は何も考えてないのに！」
「やっぱだめかぁ」
二宮さんがヘラヘラ笑った。
「あとね！この際Aでもいいからって何！」
「あー、俺の心勝手に読まないでよ」
「聞こえたの！」
「やっぱだめかぁ……俺可哀想……」
確かにちょっと可哀想だな。
だって他の人はなんだかんだ女の子とデートできるし……なんだっけ？交通課のエリちゃん？
なんだかよくわかんないけど櫻井さんを思い出してたらムカムカしてきた。
「交通課のエリって何者よ……！」
「ん？」
二宮さんが私の顔を見る。
「私今声に出てました？」
「ダダ漏れ」
「……すみません」
「でも気持ちちょっとわかる、俺はいいけどお前ダメって言われてたよね、俺ら可哀想ね」
「だよね！自分だけいい想いしてねぇ？」
二宮さんがふー、とため息を吐く。
「翔ちゃんのこと好きなの？」
「はぁ？誰に対しても恋愛感情などもっておりません！」
「でも潤くんはお気に入りでしょ？」
「真面目で優しいからね、相葉さんも好きよ、時々ふざけるけど基本真面目で優しい」
「まぁそうね」
「でも……5人とも……真面目で優しいよね」
私の言葉に二宮さんがフフフって笑った。
「Aも真面目で優しいよ」
「私は優しくない」
「優しいよ。マサトシくんを助けたいって……もうこの世にいない子に対してもそう思えるってことが」
二宮さんが青空を見上げた。
蝉の声。
照りつける太陽。
立ち上る草いきれ。
額を落ちる汗と、二宮さんの甘ったるい優しい声と、その体温。
「……白昼夢みたい」
「それが悪夢になりませんように」
二宮さんが琥珀の目でそう言った。
ぐらりと世界が歪んで、重なる。
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みつき - この章はにのと主人公ちゃんの絡みが好きなんです！これ読みたさにもう何度読んだことか！！ (2020年8月8日 7時) (
レス) id: 6d571bc65d (このIDを非表示/違反報告)
みに - こんにちは！もう無の証明4周目です！このお話本当に大好きで続編やビハインドストーリーも希望します！名前のところがAと表示されて変換出来ない状態なのでお知らせに参りました。お直ししていただけると嬉しいです。 (2020年6月2日 15時) (レス) id: 5d98a5a6f1 (このIDを非表示/違反報告)
nyaruru(プロフ) - 楽しみ過ぎてなかなか読み進めれなかったです。更新待ってました！と喜んでいたら、むか〜し高校生くらいのときに不思議だった話が出てきてびっくり！色の見え方や聞こえ方の話です。家族に話してみても共感されなくって、まさかここで出会えるとは感動しました (2019年11月8日 4時) (レス) id: d437e89628 (このIDを非表示/違反報告)
Chisa(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！ (2019年11月4日 4時) (レス) id: 660ab80a22 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - もう本当すごいです。情景がありありと浮かぶし、実写化してほしい。 (2019年11月2日 20時) (レス) id: 3159ad2d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月19日 17時
