〇≠無の証明Ⅳ－１ (ページ27)

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少年たち(2019/05/20) ページ27

「一応全部見て回ったけど……霊の気配はなさそうだし……」
松本さんがそう言った。

「生きてる人間を襲おうとするくらいの元気な霊が潜んでたらわかると思うんだけど……」

元気な霊。
皆がちょっと笑う。

「あと、尾野さんの息子さんも今んとこいなかった……ちょっと残念だな、家に送ってあげたかったのに」
「そっか……いなかったの……」
「仕方ないよ」

私が落ち込んでたら松本さんが優しい目で私を見下ろして、私の頭をぽんと叩いた。
ドキ。

一瞬ときめいた。

「うわっ！」
「へっ？」
「埃すげえ！モワって！あはは！汚え」
「……」

「ふっ」

背後で櫻井さんのバカにしたみたいな笑い声が聞こえた。くっそう。

「こんなに何もないんじゃ取り壊しなんて簡単なんじゃないの？」

大野さんがそう言った。

「そうだねー、平気そう」
相葉さんが周りを見渡す。

「確かに。どうして被害がでるんだろ……。取り壊そうとしたら出るんだよね？ちょっとカカリチョ、そのへんのガラス割ってみてよ」
二宮さんがそう言った。

「ん」
「ダメダメ」

櫻井さんが止めようとしたのに時既に遅し。
大野さんがつま先で足元のガラスの扉をえいやぁ！って蹴破って、ガシャンと派手な音を立てた。

「きゃ！」
つい叫ぶ。

「あー……器物破損！」
櫻井さんが大野さんの腕を掴んで、大野さんが別にいいでしょって顔で櫻井さんを見た。

松本さんと相葉さんが周りを見渡す。

「どう？」
二宮さんが聞く。

「なんか空気が動いたけど……」
「……ここじゃない」

相葉さんと松本さんが視線を彷徨わせた。

「ん？」

「どこだ？」
相葉さんが視線を階段の方に向ける。

「……」
「……」
松本さんと相葉さんが階段を降りていって、一階に着いた。
着いた途端振り返る。

「……あれ？」
「……ん？」

また階段を登る松本さん。
相葉さんも着いていく。

2階の私達の元に着いて、また振り返る。

「……相葉さん……もしかして」
「うん」

「どうしたの？」
私の問いに松本さんと相葉さんが同時に私を見た。

「この階段」
「え？」
「階段昇降でなんか反応がある」
「階段？」

「階段だって？とんだ怪談だな」
ボソッと櫻井さんがそう言った。

「ふ、」

笑いそうになったけど、みんなガン無視してるから笑うのを我慢していたら、櫻井さんが私に「オイ」って言った。

くっそう。
真面目なシーンなのに！

「どう変なの？」
二宮さんが聞いた。