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「つまり、中間さんの仲間が襲われたのは霊じゃなくて人の可能性も……」
そう言ったら大野さんがジトッとした目で私を見てる。
「私こんな時にダジャレを言うわけないじゃないですか！流石にこんな時にふざけません！」
「俺何もいってない」
「そんな顔した！」
「は？」
櫻井さんが狭ー！って言いながら出てきた瞬間と私が大野さんを肩パンしてる瞬間が同時で、なんで叩いた？って櫻井さんがちょっと怒ってる。
「そんなことよりホラ見て翔くん」
「ん？Aどいて？」
櫻井さんが私の襟首を掴んでぽいって後ろに退かそうとした！扱い！扱いがひどい！
「足跡」
「雑草踏んで歩いてるからゲソ痕は無理だな、あっ、ここ」
指差した先にゴミが落ちてて、櫻井さんがそれを手袋をはめて手に取った。
「踏みしめられた雑草の下に……レシート……今年の5月17日、ということは5月17日以降にこの道を歩いた人がいる」
「そのレシートは犯人の……？」
「いや、ゴミはたくさん落ちてるから犯人が落としたとは限らないよね、この向こうは駐車場だし。まぁ一応持ち帰ろう」
そう言って櫻井さんが袋にレシートを入れて懐にしまう。
「これどこに出るんだろう」
大野さんがスタスタと歩いて外に向かう。
人が一人踊れるかどうかの狭さで、ちょっとガッチリした体つきの人ならカニ歩きしないと通れないくらい。
「……櫻井さん、ボタン落ちてる」
「ボタン……」
櫻井さんが手袋してるのをいいことに拾得物やら遺留品は全部拾ってもらおうと思ってるのがバレて睨まれた。
大野さんがそのままスタスタ歩いて行ったら、その先にはネットのフェンスがあって、近づいてよく見たらフェンスが破られている。
駐車場とは逆側の、裏の山手の方に抜けれるようになっていて、そこには畑があってちゃんとした山道がある。
「……ここ出入り自由じゃん。表の鎖とか南京錠意味ない」
「でも一階は鍵かかってましたよね？中に入れないのになんの意味が」
「二階はどうだろう？」
大野さんが来た道を戻っていく。
非常口の横の、劣化して錆びついていてところどころ抜け落ちそうな螺旋階段を見上げた。
「いこう」
「え？これ危なくね？」
櫻井さんがなぜかウハハって笑いながら手すりをしっかり握って登ってる。
あ、そっか、高所恐怖症だ！
「まさか斧とか持った男がいきなり襲ってきたりしな……」
私が全部言う前に大野さんが扉をあけた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月10日 13時
