〇≠無の証明Ⅳ－１ (ページ11)

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「捜査する上で一つお願いがあります」
櫻井さんがみんなを代表する形で言った。

「はい」
「我々のやり方がありますので、なるべく口を挟まないで欲しいということと」
「はい」
「中間さんを疑うわけではないのですが……我々は部外者に対して少し距離感があります、ハッキリ言うと我々は我々以外を信用していない」

中間さんが何回か頷いた。

「警察庁には我々に正式に捜査の依頼があったことにして京都に伺います、なので公安の方は私達に関与しないでほしい」
「……でも、協力という形をとるつもりで……あの……」
「協力は有り難いのですが、中間さんは捜査結果を報告する窓口としてだけ存在する形を取ってもらえますか？理由は、その怪我です」

中間さんが腕に目を落とした。

「あなたが頭のキレる信頼できる方だということは私と東城にはわかっています」
「……恐縮です……」
「しかし、協力を依頼するなら怪我をしていない人でないと正直足手まといです。それに他の公安の方は中間さんと心を一にしてるとは限らない、もっと言うと信頼できません」

「……」
「つまり公安は我々に何も依頼していないこととし、我々は我々のうかがい知れない上の方から捜査の依頼が来たから捜査するという形が望ましい」
「……」
「勿論報告は逐一させて頂きますが、我々の捜査方法に関与しないで貰えると助かります」
「それはなぜですか？」
「例えば二宮が守護神を降ろし、九字を切って霊や人を吹き飛ばすのを見て一々驚かれたり、そのまま報告書をあげられるのは困ります」
「えっ！吹き飛ばす？え？そんなことできるのですか」
「はい」
「……すご……」
「もう一度いいます、公安は我々に何も依頼していない。そうすれば面子を保てるでしょう……どうです？」
「……はい、それは、助かります……」
「我々は何も聞かなかったこととして公務を全うする、勿論報告はさせてもらいますが、報告書は常識で収まるように書き換えます」
「書き換える？」
「はい」

二宮さんがふふふ、と笑って中間さんを見た。

「俺が悪いやつを吹き飛ばして肋骨を三本折ったとして、過剰防衛だって言われると困るよ、女神様に手加減なんて無理だもん」
「女神様……？」
「うん。俺に惚れてんの。俺を敵に回さないほうがいいよ？」

二宮さんがフフンと笑った。

「では、ここからは秘密裏に……事件の詳細をお聞きします、詳しく教えてください」

櫻井さんが手帳を開いた。