〇≠無の証明Ⅳ－１ (ページ2)

今日:8 hit、昨日:23 hit、合計:845,405 hit

上の方からの指示ページ2

「どういうこと？」

櫻井さんが大野さんの横に座ってファイルを預かる。

「病院……？」
「うん。内容は、よくあるやつ。霊が邪魔して取り壊し工事ができないってやつね」
大野さんが眠そうに言った。

「……よくあるパターン？なの？」
私の戸惑いを見て、二宮さんがうん、って頷く。

「例えばね、樹齢500年の木を切ってマンションを建てたい土地の所有者がいて、木を切ろうとしたら切ったやつが交通事故でけが」
「うん……？」
「その木とそいつの身長と比率を同じにしたとき、木に電ノコで入れた傷と全く同じくらいの位置……つまり左足に切断寸前の大けがしたんだよ、事故で」
「偶然じゃないの？」
「それだけじゃない、何回やろうとしても電ノコ止まっちゃうの。だから斧を入れた奴がいるんだけど、そいつも帰り道に足切断寸前の怪我してね、とうとう工事が止まった」
「……それはほら、たまたまで……」
「じゃあ聞くけどお前、たまたま偶然だからってそのまま切れる？３回目、下半身真っ二つになっちゃうかもしんないのに」
「……」
二宮さんが私の顔をみて、ぷぷ、と笑う。

「元はお墓だった土地にマンション建てようとして、どうしても重機が止まっちゃうみたいなのもあったよね？」
松本さんがそう言った。
「またマンションなの」
「え、そこ反応するとこ？」
私の言葉にえーって言いながら松本さんが目をくりくりさせた。

「あとは」
二宮さんが言いかけてうんざりした。

「まだあるの？」
「うん。まだまだあるよ、またマンション」
「今度はどんな因縁のあるところに」
「祠があった場所、病院の跡地、他色々」
「で、それらの結果どうなったの？」
「樹齢500年は切らずに場所を移動して解決、病院とお墓は気のせいだけどお祓いして落ち着いた。祠はダメだった、今もその場所にある」
「……」
「つまり、そういうの結構多いよって話」
「へえ」

大野さんがコーヒーを啜って、口を開いた。
「続けていい？」
「うん」
「面倒な理由のまず一個目。都内じゃない」
「……どこ」
「京都の田舎かな……」
「……京都の公安にもうちみたいな課あったよね」
「うん」
「そこは動かないの？」
「動いたんだけど」
「けど？」
「みんな怪我して今１人しか動けない」
「……怪我の理由は……」
「……それは、まああとで」

……嫌な予感しかしないやつ……
櫻井さんの思念が飛んできた。

「で？他の面倒な理由は？」
相葉さんが不思議そうに聞く。