二宮さん(6/19) ページ42
帰り道。
二宮くんとご飯食べて帰ろ、ってことになった。のに。
「打ち上げいくよ」「七時に『One』で！」「ニノとAちゃんメンバーに入ってるからね！」「帰るなよ！」「七時だよ！」「後でな！」「逃げるなよ！」
とか散々同期がいって来た。
「二宮くん、明日にする？」
「そうねー」
「……そっか……」
「あら？残念そうな顔しちゃって」
二宮くんが、ぷくく、と笑った。
「残念だもん」
「逃げられそうもないから顔出さなきゃね」
「……うん」
「ねぇ、A、そんな可愛い顔しないで」
二宮くんがしゃがみこんで廊下にのの字書いてる。
「えと」
「ねぇわかってる？それどういう意味かわかってる？わかってないよね？わかっててそれなら……」
「……それなら？」
「……期待しちゃう……」
「何を……？」
「あー……がっかり……」
「……」
「いくよー！」
生田くんが相葉くんを引っ張って、相葉くんが二宮くんを引っ張って、二宮くんが私の手を引っ張った。
何これ。おおきなかぶみたい！
「何よこれ！おおきなかぶかよ！」
あ、同じ事思ってた！
結局全く乗り気じゃない二宮くんと、同期と企画部の皆さんが座敷に通されて、とりあえず乾杯する。
二宮くんは企画部の方に座って、私ともう一人の同期の営業のあいちゃんとみほちゃんと企画部の竹内さんと一緒に座った。
私の隣は生田くん。
生田くんすごい優しい。何食べる？とか聞いてきてくれる。
二宮くんが私の席を見て、バーカ、って口パクしてきた！なんで！
「あ、揚出し餅たべたいけど……2つもいらないよー、食べる？」
「お餅はやめとく……」
女の子たちに断られて、諦めようとしたら生田くんがシェアしよっか？とか言ってくれた。
「いいの？」
「いいよ？」
ニコニコ。
笑顔が優しい！
「じゃあ、このハンバーグもシェアする？」
「食べたい！」
「よし、じゃあ頼もうか」
「ハンバーグなら俺も食う！」
二宮くんが遠くから体を乗り出して言って来た。
「じゃあ2つ頼もう」
「そういう意味じゃ……」
「すみませーん」
生田くんが店員さんに声をかけた。
二宮くんとまた目が合う。
バカ。また言われた。
三杯くらいお酒もおかわりして、そろそろ自重しなきゃ耳も聞こえづらくなってきた。
「A……ん、っとあ……し……たよ」
「ん？」
「ふふ、やっとあげだしもちきたよ！」
生田くんが耳元に話しかけてくれた。
「はんぶんこね」
「そうだねー」
「はい、どうぞー」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
