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「今ね、イケメンがイケメンに見えないという症状に冒されてるみたいで」
「ほう」
二宮くんがぷぷ、と笑う。
「だから恐怖症治ったんだ、多分」
「目の病気かな？俺はどう見えてるの？」
「世界一かっこいい」
二宮くんがくは、って吹き出した。
「目は平気みたいね」
「……うん」
「それなんの病気かな」
「二宮和也病、って言って……」
二宮くんの動きがぴたりと止まった。
「……」
「主な症状は……」
「胸の痛みと涙目、だっけ？」
二宮くんが答えた。
「渡瀬A病はイライラと……？」
二宮くんが私を見る。じーっと。
「自暴自棄だよ、……見た？引き出し」
「見た」
「……治す方法も見た？」
「見たよ」
「治してくれんの？」
「その前に聞きたいんだけど。二宮和也病の治す方法、知ってる？」
「もしかして、二宮和也を投与したら治るのかな？」
「多分そうだと思うけど……わかんない」
「試してみます？」
二宮くんが、チラリと周りを見渡して、会社の裏側の方に私を引っ張った。
「ん？」
「しー」
二宮くんが私の後頭部をそおっと手で包み込んで、ちゅ、って、触れるだけのキスをした。
「……え！」
「ん？」
二宮くんの、優しい目。
「びっくりした！」
「え？投与ってこういうことじゃないの？」
「投与ってなんだろうって思ってて！」
「あー……」
「ええ……」
突然。
胸の中が、きゅううううって痛くなった。
涙がポロポロ落ちてきた。
「う……」
「あ！症状酷くなってる！」
二宮くんが笑ってる。酷い！
「二宮くんは治ったの？」
「……こんな馬鹿だと他の男にもついついうっかり無意識に誘ったりしてそう。……と思ったらイライラしてきたあ！」
「逆効果！」
「イライラする！」
「私もこの胸の痛いの助けてよ！」
「いい方法があるよ」
「何？」
二宮くんが首を傾げて、んふ、と笑った。
「今日、俺誕生日なんだけど」
「そうだ！ケーキ！」
「ケーキいらない。この子ちょうだい」
二宮くんが私の鼻の頭をちょん、と、叩いた。
「……いいよ、あげる」
「あーもう、ほらまたすぐにね、わかってる？ちょうだいってのは」
「わかってる、今日、二宮くんちに泊まってもいい？」
「……一晩中お話しようとか言われそ……」
「ダメなの？」
「まぁ、いっか。いちいちびっくりしなさい」
二宮くんがンフ、と、笑ってもう一度私にキスをした。
……6月18日未明。
恐怖症が、依存症にかわることに。
まだ私は気づかない。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月17日 4時
