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お昼休みの時間になって、ふ、と二宮くんと目が合った。
恥ずかしくて逸らそうとした自分が嫌だ。
「行ってみる？」
「どこに？」
「昨日のとこ」
「2日連続でいるかしら」
「どうかなぁ、確認だけ？」
「……」
二宮くんが企画部から出て行って、思わずついていく。
エレベーターでも目が合わせられない。
地下まで着いた時、二宮くんが私を見た。
「いるかな」
「そんな毎日いるかな？昨日あの子涼ちゃんちに泊まったんでしょ？」
「多分……」
「昼も会うかな？」
ああ、資料室に薄ぼんやりとした光。
「まさか……いい年ぶっこいてあいつら猿か？」
「……」
「え、なんか気持ち悪い、知性の欠片も感じない、恋愛してるってよりこれはまるで」
「……」
「おええ、だめだ、ドン引き。私の賢くてかっこいい涼ちゃんどこ行ったの」
二宮くんが、悲しそうに笑う。
迷いなくその部屋の前に行く私の後ろから二宮くんがついてくる。
ノックしていきなりドアを開けてやった。
「誰かいるの？」
「……」
「二宮くん、ごめんそっち探して？私こっち探すから」
「……何を？」
二宮くんの声が笑いそう。
「昨日言ってた不良物件よ。見てくれの美しさに惑わされて中開いたら耐震も防火もできてないクズ物件」
「……ふふ」
「どこかしら……あら、涼ちゃんと優奈ちゃん」
隅っこに立ちすくむ、涼ちゃんと優奈ちゃんを見て、冷たい目を向ける。
二宮くんが、A？って半笑いで私の横に来た。
「何してるのこんなとこで？ここって企画部と設計部しか来ないとこなんだけど何の用？」
「……」
「優奈ちゃん、スカート捲れ上がってるわよ、涼ちゃんもネクタイ緩んでだらしない、身なりを整えなさい」
慌てて身を繕う姿を見て、気分が悪い。
「……」
「なに？逢引してたの？こんなとこで？スリルあって楽しかった？」
「……」
「人に見られるかもってドキドキした？見られてどんな気持ち？」
「……A」
涼ちゃんが私の腕を掴もうとした。
「さわんないで気持ち悪い！」
「……え」
「別れたいのよね？いいよ！」
「……え、待って……」
「今までありがとう、お幸せに」
にっこり笑って二人を見る。
ついでに、来週までに必要なファイルを取ろうと棚に手を伸ばす。
「ん」
二宮くんが私の背中から覆いかぶさるように立って私の伸ばした手と二宮くんの手が重なるように頭上のファイルを取り出した。
体温に、ホッとした。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月31日 8時
