いつも君を見てる２[A]完結 (ページ8)

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もう、いっそのこと、電気を点けたままにしておこう。
あ、そうだ。引っ越し。
引っ越せばいいのか。

……新潟、私も帰ろうかな。
美味しいごはんと美味しいお水と、綺麗な星空。
雨と雪が多くて曇りの日も多いし、寒いし何もないしご近所はみんな知り合いだし。
彼氏と初デートした次の日にはご近所にまで知れ渡ってるような田舎だけどこんな怖い想いはしなくて済む。

ちょっと泣いてたら、ラインが来た。

「相葉さん……」

『怖い想いはしていない？
仕事遅くなって今メッセージ見たよ
無事帰れた？心配してます』

優しい。
あったかい。
今度はちょっと嬉しくて泣けてきた。
涙腺変になっちゃってる。

怖いのとか、二宮さんにとっての誰かの代わりになってたこととか、相葉さんの嬉しいのとか、そういうのごちゃまぜになって、涙が止まらなくなった。

『ありがとうございます
もうお家につきました』

『よかったー
明日も少し遅くなるから
一緒に帰れないけど
気を付けてね。おやすみ』

スタンプとか絵文字とか使って可愛いメッセージ。
ふわんと心が明るくなった。

誰かが私を思ってくれてる。
それだけで、どれだけ勇気につながるか。

うん。もうちょっと頑張る。
で、もう無理だと思ったら、実家に帰る。

……相葉さんもいてくれるし。

そう思ったら、ちょっと浮上した。

翌日から、頑張って一人で帰ることにした。
二宮さんが心配してくれたけど、もう大丈夫、ってことにした。
メールはまだ続いてる。

相葉さんと一緒に帰ったら妙な人影はなくて、一人で帰る時、時々人影を見た。
反対側の道路にわたったり、誰かが歩いてるとき以外は暗い道を歩かないことにしたり。
なるべく一人にならないように、頑張った。

一度、715号室の松本さんと駅で一緒になって、こっそり一緒に帰ってもらおうと思って後ろを歩いていたら、松本さんがくるん、と振り返った。

「ごめん、背後歩かれるの気持ち悪いから横に来るか先行って」

はあああ、気づかれた。

「すみません……」
「一緒に帰りましょう」
笑った。美形だ。

「この道怖くて……」
「ああ、そうだね、街灯つけてもらおっか」

……権力者？

「他に、なにか不便あります？」
「え」
「私、このマンションのオーナーの息子なので」
「……しりませんでした……」
「何か困ったことがあればどうぞ仰ってください」

エレベーターまで一緒に７階まで上がって、別れた。
目がちかちかした。