44 ページ4
思わず二宮さんと顔を見合わせる。
「それ、いつ？」
「警備員の奴は夏くらいかな、かっこいい奴は比較的最近」
「……」
「かっこいい奴ってどんな？」
二宮さんが聞く。
「マスクしてたから顔はわかんない、けど背も高くてスタイルよくて、マスクから上の顔はすげー美形だったから」
「……」
「おしゃれだった？」
「うん、あのジャケットたしか17万円の、あ、俺今着てるやつと同じブランド」
二宮さんが私を見て、口を開く。
「710号じゃない？」
「うん。それはつけてるんじゃなくて、たまたま帰る方向が一緒なだけだと思うんだけど……」
「ふーん、知り合い？」
「……うん。ちなみにそれはいつ？」
「……１か月……２か月くらい前かな」
菅田くんの言葉に絶句した。
２か月前だったら、相葉さん、私たちまだ知り合ってない。
でも、職場が近所だから、偶然ってこともあるし、菅田くんの勘違いかも。
「コーヒー……」
沢村さんがそう言って慌ててカップを用意する。
「案外、710号がストーカーかもよ」
二宮さんの言葉に胸を鷲掴みされた気になった。
そういえば。
変なことはたくさんあるんだけど。
気のせいだと思い込んできたというか。
確認してみようか。
ごくり。
唾を飲み込んで、席に戻る。
ばたばたと午前中が終わって、お昼の時間になった。
「あ！今日えり子いないんだった！飯！飯がない！」
二宮さんが文句言ってる。
「あの、ラーメン頼みませんか？今日、北京さんのお兄さんとあってチャーハンの気分で！」
おなかがすいた、で思い出した。
中華の気分！
「じゃあ俺味噌ラーメン」
「じゃあ俺塩、バター抜きと小ライス」
「じゃあ俺は中華丼、餃子は我慢する、から揚げ」
みんな勝手に私に注文するんだから。
中華北京さんに電話をかけて、デリバリを頼んだ。
冷たいお茶を用意して、届けてくれるのを待つ。
20分後に、警備室からコールが鳴る。
「出前頼まれましたか？」
「はい！」
「通しますね」
しばらくしたら、今朝あったお兄さんが「こんちゃーす！あざーす！」って言いながら入ってきた。
「ありがとう」
「チャーハンと、これスープ。で、味噌ラーメンと塩ラーメンバター抜き、中華丼、若鶏から揚げ、小ライスお待たせしました」
「おいしそう、おなかすいたあ」
「あはは」
お兄さんと笑い合ってたら、二宮さんが、お兄さんに、ねえ、って話しかけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2794人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年12月31日 12時
