いつも君を見てる２[A]完結 (ページ21)

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61(2017/01/04②) ページ21

「イケメンの……？」
「ストーカーの人」

大野くんが、腹減った……とかいいながら店員さんにドリンクバーだけでいいです、って言ってるのを見て、何か食べたら？と声をかけた。

「いいの？財布忘れちゃって」
「はい、どうぞ」
「じゃあ、このランチセット」

ちょっと嬉しそうにふふんって笑ってる姿はさっきの台詞は嘘だったのかなと思うくらいで。

「で、ごめんなさい、イケメンのストーカーってのは誰のことを……」
「昨日一緒に帰ってたでしょ」
「……」
「あの人いつもAさんの後つけてるよ」
「うそ」
「ほんと」

二宮さんはだまって携帯を触ってる。

「あ、うちのコンビニ、外に向けてのカメラもあるんだけど、それ見て、ああ、またいるな、って思ってた」
「……」
「昨日、後つけられてるっつって、怖がってたから、いつもあの人だよ、って言ってあげなきゃって思って」
「……」
「でも一緒に帰ってるの見たこともあるから、意味わかんねーやって」

あはは、って笑ってる。
呆然。

二宮さんが苦笑いしながら、口を開く。
「自作自演？」
「え」
「Aがストーカーに狙われてるように見せかけて、自分が守ってあげて、惚れさせるみたいな、自作自演」
「……」
「吊り橋効果狙ったのかな」
「……危険な場所にいたら、その怖いドキドキと恋愛のドキドキを脳が勘違いして恋しちゃう、っていう……」
「そそ」

二宮さんがコーヒーを飲み干した。

「お代わりいりますか？」
「おなかたぷたぷ」
「……」

今の話をトータルして考えたら、そう思うのが妥当というか。
そこまでされる理由もわかんない。なんか怖い。

「……どうすんの」
「え、何が……」
「このまま付き合うの？」
「…………」
「710号にストーカーされるんならデートしたいとか言ってたよね」
「……言いました」
「で、昨日彼氏になったんだよね？」
「はい……」
「じゃあ710号がよっぽど変な趣味でもない限りストーカーはもういなくなるよね」

それはそうなんだろうけど。
でも、なんか。

なんだかそれは。

「いただきまーす」
大野くんがランチを美味しそうに食べはじめた姿を見てため息が出た。

「どうすんの？」
「ちょっと、様子を見てみる……」
「……」
「何か、意味があるかもしれないし」
「くれぐれも気をつけなさいよ」

そのまま、コンビニの常連さんのニックネームの話なんかをして、ランチを食べ終えた大野くんと二宮さんは帰っていった。