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黙り込んだ私に二宮さんが、はぁーってため息を吐いた。
「Aって抜けてるから心配だわ……」
「すみません、雅紀くん、どうして私の会社、知ってるのかなぁって初めて気付いて……」
「……なぁ、ちょっと俺も確認。他になんかおかしいことない？思いだせ！お前バカだけど記憶だけはいいんだから」
「褒められてるのか貶されてるのか……」
「ほらほら、どうせ恐い目にあったとか言って、守ってあげる的なことになったんでしょ」
二宮さんが、コーラをズズズ、って飲んでる。
「はい」
「最初から聞いてやるからどうぞ」
「まず、後ろをつけられたんです私。怖がってたら後ろから雅紀くんが帰ってきてエレベーター一緒になりました」
「うん」
「その前日に引っ越しのご挨拶があって……少し話してたから……」
「じゃあ、時系列で行くと引っ越しのご挨拶の日の翌日からストーカーが始まった、と」
「……はい」
そういう言われ方をするとなんだか。
「その前からも、時々、つけられてるかな？ってことはあったんだけど気にしたことなかったんです……」
「……うん、決定打はメール？」
「それと、マスクをした黒っぽい格好をした男につけられてる、ってわかった……マスク……」
「ん？」
「二宮さんって、マスクはどこにつけていきます？」
「家でもつけることあるけど基本外でしょうが馬鹿なの？」
「怪しい男につけられてたあと、雅紀くんとエレベーターであったとき、ポッケに入れてて」
「うん、マスクをとった理由は？お前と顔を見て話したかったか、もう用はなくなったか、だよね？」
「……」
「なんっか怪しいんだよなぁ……」
二宮さんが、おかわり、って言って私がパシリに使われる。
戻ってきたら食事が届いていて、二宮さんが先に食べはじめてる。
「……えー……先食べてる……」
「ん？お先」
「んもー……」
「で？」
「あ、で、その時、雅紀くんに前にうちのお店の前通って目があったよね？って言われて、」
「それは事実？」
「はい！かっこよかったー、すごい素敵で」
「感想とかいらない」
つめたい。
「会社近所だったんですね！って私が言ったら、そうなの？って驚いてたんですよね……」
「うん」
「で、そのあと家に帰ったら、おかえり、ってメールが来て」
「……うん」
「急に怖くなって、盗聴器とか、気になって怖くていてもたってもいられなくて、二宮さん繋がらなくて、710号に行きました」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年12月31日 12時
