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部屋の前までに付き合ってもらって、鍵を開けようとしたら、手がガクガク震えて鍵を開けられなくて。
相葉さんが、震えてる私の手を握った。
「うちにおいで」
「……え？」
「怖いんでしょ？おいで？落ち着くまで一緒にいようよ」
「いいの？」
「いいよ、コーヒーでも飲んで帰りなよ」
「うん」
相葉さんに手を引かれて、一旦通り過ぎた710号室に戻る。
部屋に入ったら、前入った時にあったダンボールはもう片付いてる。
パジャマなのかな？部屋着がベッドの上に置いてあって、今朝飲んだようなコーヒーカップがテーブルの上に。
スーパーのビニール袋の中にゴミなんかが入ってて、読みかけの週刊誌とかが雑然と置かれてる。
けど散らかってる感じはしない。
「そのへん座って」
「はい」
コーヒーのいい香りがして、ホッとした。
相葉さんが戻ってきて私の横に座る。
「大丈夫？」
「はい、安心します」
相葉さんが、またあの、コロンとした形のマグカップを私に渡してくれた。
「かわいい」
「でしょ？2つあるよ」
「ペア？」
「うん、翔ちゃんがよく来るから二人分ね」
彼女じゃないのね。
「彼女、じゃなくて？」
「彼女にしたい子はいるんだけどねぇ、なかなかうん、って言ってくれなくて」
「……」
「俺みたいなタイプきらいなのかなぁ？……どう？嫌い？」
「違うよ！不安なの、相葉さんって優しいけど、みんなに対してなのかなぁって……よく知らないのにモテることは知ってるし……」
相葉さんがビールの缶をばしゅ、と開けて私を見て微笑んだ。
「他の女の子に対しては冷たいかも」
「そうなんですか？」
「うん、好きな子以外には超塩対応だよ」
「そうだったんだ」
「うん」
「勘違いされるから？……好きになられたり……」
「そうそう」
相葉さんが苦笑いした。
「相葉さんもストーカーの被害にあったことが……？」
「まぁね、多少」
「それ、どうなったの？」
「気になる？」
「……はい」
「一人は、警察からの注意勧告でいなくなったかな？もう一人は」
「……何人もいるんですか？」
「……逆恨みされてつきまといとか合わせたら5件くらいあるかなぁ」
「……そんなに」
「当時付き合ってた彼女が嫌がらせされたりね、そういうこともあるし……」
相葉さんがはぁーってため息を吐いた。
「お客さんに彼氏と別れてきましたって言われてその彼氏に逆恨みされたりね、色々」
ああ、二宮さんの言ってた件だ。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年12月31日 12時
