〇≠無の証明Ⅲ (ページ7)

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呪われた血ページ7

今回はたちが悪いという松本さんと相葉さんの言葉を信じ、私達は揃って紫音くんの家に来た。

「でけー……」
そう言ったまま言葉を失う松本さん。

明治くらいからありそうな古い古い洋館で大きな黒い門をギギギと開ければ、鬱蒼と繁る木々のあいだから洋館の全貌が見えた。

当時は美しかったんだろうけど今は怪しげな空気が立ち込めている。

……まるで血に飢えたドラクル伯爵が蒼白く美しい顔を３階の窓からのぞかせそうな……

……この館に閉じ込められたまま一生を終えた深窓の美少女の亡霊が夜な夜な徘徊を……

櫻井さんの意志が飛んできてすごい邪魔。

「お前美形好きだよな、面食いめ。鏡見てから言えよな」
「刑事がロリコンなんて世も末よ、逮捕してやろうかしら」

ぎりり。
ついつい睨み合う。
別に喧嘩したいわけじゃないのに。

「ドラキュラとか出そう」
「あの窓から女のコの霊がいてもおかしくないよね！」
大野さんと二宮さんも同じようなことを言っていてちょっとおかしくなった。

「なんか見える？」
松本さんが相葉さんに聞く。
「うーん……なんかね、余所者に対しての悪意は感じない……というか」
相葉さんが首をかしげて言う。

「うん。わかる。俺もそう。色々居るけどどれも害はない感じ」
松本さんが頷く。

「俺の女神様は？」
二宮さんが後ろをちょっと振り返った。

「……いない……ニノに危険が及ばなきゃ来ないんでしょ多分」
松本さんが使えない、って感じで首を振った。

玄関の大きな扉を開くと、大広間があって想像通り目の前に階段があった。
赤いじゅうたんを想像してたけど、大理石を模したタイル張り。

「フローリングが傷んだので改装したんです」
紫音くんが微笑んでいった。

「思ったより明るい」
「外見はお化け屋敷ですからせめて中は明るくしたくて」

紫音くんが自分からそう言ってくれてみんなが少し笑った。

「シャンデリア」
大野さんが天井を見上げて言った。

「ああ、風もないのに揺れるシャンデリアです」
紫音くんがこともなげに言った。

「まって、書く」
櫻井さんがタブレットを取り出した。

「一階から案内してください」
私の言葉に紫音くんがちょっと緊張したみたいにうなづく。

一階の奥には、昔々住み込みのコックが使っていた部屋と、厨房がある。その横には執事の部屋。

その隣に奥様が趣味で使われるというキッチンがあって、今はそこだけしか使っていないと言った。