〇≠無の証明Ⅲ (ページ43)

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「相葉さんの役割は重要なのよ。依頼主の思い込みで霊だと思い込んでる可能性が高い時とかはね、相葉さんじゃないと無理なのよ」
「どうして？」
「例えば翔ちゃんは、そこがいいとこなんだけど、疑心暗鬼になってるから見えるんだよって本人にはっきり言っちゃう」
「そうね」
「けど相葉さんは、その人が何故そうなったかまで光で見えてるから。みんなに構ってほしい寂しい、とかを光で感じ取る」
「……うん」
「心配して会いに来た家族や友人の中に、本当に心配してる人を探して、この人がそばにいると寄ってこないよとか言ってあげるという役割」
「なるほど……」
「ちなみに俺は、まぁまぁシッカリ除霊できるけど、大野さんみたいに嫌われてるわけじゃないから普通に寄ってくるんだよね」
「……」
「だから潤くんに、前方2時の方向で女めっちゃ睨んでる！とか言われないと正確に気を飛ばせないの！だから潤くんとペア」

なるほど。
それで最初の相談は櫻井さんと松本さんか相葉さんってパターンが多いんだ。
低俗な霊だと大野さんが来るだけで逃げるとか言ってたもんね。

……で、大野さんって何者。
眠そうにクッキーを齧ってる。
心が読めない。
大野さん、表面の心しか読めない。

このクッキー甘くてイケる……て思ってることしか聞こえない。しかもそれは嬉しそうな表情と、甘、って呟いてるから読まなくてもわかる。

それしか考えてないのか、隠してるのかどっち。大野さんと目があった。

「ん？読もうとしても今何も考えてないのに」

私が読もうとしたことに気づかれた。
「もしかして大野さんにも二宮さんみたいに何か鬼とか憑いてるんじゃない？」

私の声に大野さんが首をかしげる。
「おに？」
「死神とか」
「なんで？」
「霊にそこまで嫌われる理由がわからないのよ、霊に嫌われてるのよね？」
大野さんがふふ、と笑ってる。

「霊が嫌なんだから閻魔大王だったりしてね、閻魔ってたしか地蔵菩薩……？でも海外の霊にそんなのわかるの？」
二宮さんが戸惑ったように私を見た。

「神を信じたことある人にしか結界は効かないし祓えない……」
「大抵の日本人は初詣とかお葬式で神の存在を意識するもんね」

松本さんがぼそりと呟く。

「なぁ、1つ気づいたんだけど」
「うん」
「……信じる神が違う人間にこの結界はどこまで通用する？自らの信仰する神以外を恐れない者に……俺らは異教のものの祓い方を知らないんじゃ……」