未必(5/10) ページ27
「僕、紫音くんと同じ職場の、松本っていいます」
松本さんが、にっこり笑った。
タケオが、うっ、と息を飲みこんだ。
「俳優？」
「いや、まだそんな大きな仕事はしていませんが」
「で、他の人たちは」
「僕の友人の刑事」
「どうもー」
二宮さんがにっこり笑う。
……刑事？……まさか、バレたか？
タケオの心の声に、思わず櫻井さんと目を合わせた。
「友人と、僕の彼女連れてきました」
……まて、僕の彼女って誰よ。
二宮さんを見たら、すました顔。
「僕の同僚の刑事の櫻井くんと相葉くんと大野くん。大のオカルト好きなんですよねえ、この人たち」
大のオカルト好きってなんだ。
「それと俺の彼女のAです」
タケオが私を見た。
なんで私、二宮さんの彼女になってんのよ。
「紫音くんにポルターガイストの話を聞いてね、俺たち今日非番だから見に来ることにしたの、もしかしたらなんかの悪い奴がはいりこんでるだけかもしんないし」
ああ、もおお。
二宮さんが組んだシナリオに何か意味があるのかもしれないから訂正もできない。
「で、僕の友人のオカルト好きのこの人たちに話したら、ぜひ伺いたいと」
「わくわくするなあ、探検とかさせてもらいたいんですよね！地下通路とか、ドアのない部屋とかあったりして！」
相葉さんがそう言った。ノリノリじゃないの。
「今日、泊まらせてもらってもいいですか？いいですよね？」
二宮さんが、にっこり笑った。
「紫音くんがいいなら……」
「泊まってくれるの？」
紫音くんが松本さんを見て、聞いた。
「俺はいいよ？あとの奴どうする？」
「俺も泊まる」
大野さんが言う。
そうだ。離れるな、って言ったんだもん。
「なら、ゲストルームはあるので……」
「……」
タケオが、私たちを見て、何か疑ってる。
「……」
こいつら怪しいぞ。
高校生の言うことを信用するとか、なんか変だな。
「あ、僕は帰りますので」
櫻井さんが言った。
……え？なんで？
……調べることができたんだよ！
……私どうする？
……二人抜けたらタケオの声誰が聞くんだよ
「相葉くんどうする？」
「……俺明日仕事あるしなぁ……」
「じゃあ、適当に僕らは帰りますので」
タケオに櫻井さんがそう言った。
……泊まるのは、このイケメンと、刑事が二人。
女は刑事の彼女とか言ったな。４人か。
……ビビらせて、追い出してやる。
タケオの心の声が聞こえた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年9月17日 18時
