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一人暮らししてる部屋に帰って、やっと肩の力が抜けた。
一人が一番気が楽だ。
寂しいのはもう慣れてる。
どれだけ孤独になっても、一人で生きてても、
私には両親とおにいちゃんがいることは変わりない。
足枷のようについてまわる、その真実。
就職して、ちょうど２年ほどたった頃、ちょっと面倒なことが起こった。
取引先の広告会社の林部長さんが、お母さんの従兄弟だということが判明したことだ。
お母さんのお父さん、私にとってはおじいちゃんのお姉さんの息子。
佳那ちゃん、まーくんの仲だったらしい。
私の名前と、お母さんにそっくりな容姿ですぐに、もしかしてAちゃんか？と言われた。
年賀状のやり取りも、母が亡くなるまではちゃんとしていたようだし。
適当に流してあしらってたけど、大好きだった佳那ちゃんの娘ってことで、かなり可愛がられた。
ご飯行こう、とか色々しつこく誘われる。
取引先の部長さんで、母の従兄弟ということもあって、下心もないから無碍にもできない。
娘のように可愛がってくれてありがたいけど、正直面倒だなと思い始めた頃、また林さんのおじさんから連絡があった。
「今日、飯行こう、いい肉食わせてあげるから！」
断ろうとしたら、うちの上司が行けと言った。
仕方なく、行くことにしたら、知らない男の人が一緒にいた。
「こんばんは……？」
「こんばんは！僕、川淵啓太といいます！」
私が名刺を渡したら、唐突に、Aさんって呼んでいいですか？と、言われた。
「はぁ……」
「どうだ、啓太は」
「……へ？」
「中々の色男だろう」
色男。
言い方。
ちょっとおかしくて、曖昧に笑いながら頭を下げる。
「うちの会社の専務の息子で、俺の甥」
「あ、お世話になっています」
少し頭を下げたら川淵さんが慌てた。
「かしこまらないで！」
「ですが……」
林のおじさんが、ははは！と笑う。
「今日は見合いを、と思ってね」
は？
は？
見合いって！
「……こまります！」
「そう言わずに。彼氏いないと言ってただろう」
「私まだ24なのに考えられません！」
「え？佳那ちゃんは23で結婚したのに？」
ああ。
やられた。
どうして親戚のおじさんおばさんってなんだか面倒な人がおおいの。
「困ります……」
「好きな人でもいるの？」
「います！」
「好きになってもらえるようにがんばります」
川淵さんが元気一杯そう言った。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年5月31日 0時
