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私の部屋で、私が出ていったときと全く同じ体勢のままのメグちゃんを見下ろす。
「生理がくる予定日から一週間後じゃないとちゃんとわかんないみたいだけど、どれくらい遅れてるの？」
「……明日で一週間くらい？」
「うーんそれじゃあどうなんだろうね……」
「ごめんね、A」
「いいの、とりあえず試してみる？」
「……」
「それと、吉沢くんに頼んで、田村くん、うちに向かってるから」
「うそ！」
メグちゃんが目を泳がせた。
「え？」
「まだ言わないで、はっきりわかってから……」
「あのね、メグちゃん」
「……」
「責任とれないのにそういう行為をしたってことは、メグちゃんを大事にしてないってことになるんだよ！」
「……みんなやってることだもん……でも、平気そうだもんみんな……」
「……それは違うと思うよ……」
「好きな子が目の前にいたら、そうなっちゃうでしょ、そうならないほうが変だよ」
おにいちゃんは変だったのかな。
私を抱っこしたまま朝まで手を出さずにいてくれたよ。
「今すぐは責任とれないから、我慢する人だっているよ」
「そんなのきれいごとだよ、Aは知らないからそんなこと言えるんだよ」
メグちゃん、違うよ。
それは、違うと思うんだよ。
「……おにいちゃんは、手を出さなかったよ」
「え？」
「いいよ、って言ったのに、出さなかったよ」
涙がじわ、っとこみあげてきて、慌てて鼻をすする。
「え？ちょっと待って？A？」
「私に魅力が足りなくて、抱いてくれなかったのかもしれないけどね」
「A」
「朝までくっついて、いっぱいキスして、抱きしめてくれて、……その次の日に出て行った」
「……出て行った？」
「火傷させた責任とるから信じて待っててって言って……」
メグちゃんが呆然として、涙目のまま、私を見た。
「……なんで黙ってたの……」
「誰にも、言えなくて……」
「……」
「そんなことより、とりあえず、調べよう、……あ、ほら。４日とかでも結果出る場合もあるって検索したら出てきたし！」
「うん」
「トイレ、ほら、２階の使って。待ってるから」
メグちゃんがトイレに入ったのを見送って、ふうっと、ため息が出た。
普通ならおにいちゃんだって好きな子に声かけて、きっとその子もすぐおにいちゃんを好きになって、付き合って。
そういうことしてるはずだもん。
そしてそれは、私だったはずなのに。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年5月31日 0時
