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もうすぐ冬休みに迫ったころには、吉沢くんとは時々一緒に帰ったりして、友達としてかなり親密になってきてる。
そして、相変わらずおにいちゃんは冷たい。
お昼休み、吉沢くんが教室まで来て、今日一緒に帰ろうよ、って誘いに来た。
ちょっと話してからバイバイって手を振って、何気なく教室の外を見たらメグちゃんと一緒に歩くおにいちゃんを見つけた。
「……え？」
おにいちゃんが、私をちらっと見て、何も言わずにそのまま立ち去る。
「メグちゃん、いま……」
「ああ、ちょっと気分が悪くて思わずしゃがみこんだら二宮先輩が大丈夫？って。教室まで送ってくれたよ、優しいね」
「……」
私も具合悪くなったら声かけてくれるんだろうか。
なんてことを思って、暗い気持ちになった。
「どうした？風邪？」
「なんか胃がむかむかして……吐きそう」
「胃腸の風邪かなあ？保健室行く？」
「大丈夫だよ」
「生理前とかじゃなくて？いつも生理前気持ち悪いとか言ってるよね？」
私の言葉に、メグちゃんが目を見開いた。
「ん？」
「……遅れてる……」
「そうなの？私先週来たよ！いつも一緒くらいなのに」
「……」
「メグちゃん？」
「……」
「メグちゃん……？」
メグちゃんの顔が、真っ青になった。
「まさか……そんな、わけないよね……赤ちゃん……とか」
「……どうしよ……」
突然、非日常に紛れ込んだ気がした。
「……早退する？」
「……え、やだ！どうしよ！A、どうしよう、え？嘘だ」
「メグちゃん、ちょっと落ち着こうか」
「やだ、怖い」
「メグちゃん！」
手をぎゅううっと握りしめる。
「放課後まで我慢できる？調べよう！」
「……」
「ね？」
「……」
真っ青になったまま一点を見つめて動かなくなったメグちゃんをみて、パニックになりそうなのをぐっとこらえる。
落ち着け。私がしっかりしてあげなきゃ。
やっとの思いで授業が終わって、足元がおぼつかないメグちゃんの腕を掴んで、とりあえず、家に連れて帰ることにした。
部屋にメグちゃんを置いて、着替えて普段使わないドラッグストアまで行って、妊娠検査薬を買いに行く。
会計をして出ていくときに松本先輩と大野先輩が目の前歩いてるのを見た。
見られた？
ちょっと気まずい。
でもメグちゃん、自分で買いに行ける状態じゃなかった。
人通りの少ない道で、ほっと一息ついてやっと携帯の着信に気づく。
吉沢くんだ。
約束してたのにそのまま帰っちゃった。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年5月31日 0時
