37 ページ38
その日の夜、お父さんが帰ってきて、私とおばさんが二人で仲良く豚汁と焼き魚とか食べてるのを見て、不思議そうにしてた。
「お母さん、おかわりは？」
「おなかいっぱい」
「お父さんすぐ食べる？」
「おお……」
不思議そうに椅子に座って、和くんは？って聞いてる。
「お兄ちゃんは外泊！明日教室まで怒りに行かなくちゃ！」
「お兄ちゃん……？」
不思議そうなお父さんがおかしくて、おばさんと二人で笑う。
「お父さん」
「ん？」
「いつもありがとうね！」
「なんだ！」
「なんにもない！どうぞ！」
なんだか変な感じ。
でも悪くない。
お兄ちゃんさえ、何とかなれば。
でも、きっと、わかってるはずなんだ、お兄ちゃんも。
自分が頼りないって思われてるんだ、って感じで拗ねてるだけなんだよ、きっと。
俺に頼ればいいのに！とか思ってるんだ、きっと。
「ごちそうさま！お風呂入ってくる！後で洗うから流しに置いといてね！」
不思議そうにしてるお父さんを無視したまま、お風呂に行く。
きっと全部うまくいくよ。
きっと。
お風呂からあがって、部屋でゴロゴロしていたら、電話がかかってきた。
だれ。
「……もしもし？」
「あ、もしもし？」
この声は！松本先輩だ！
「ひゃい！」
慌ててベッドの上に座りなおす。
「ひゃいってなんだよ？」
電話の向こうで笑う声！
「すみません！」
「そういやさぁ、前手紙もらったのに電話番号書いてたなぁって思って」
「は、はい」
「何緊張してんだよ」
うわぁ、松本先輩が！
松本先輩と電話で話してる私！
「あ、そういえば先輩、わたし、もうブラバンやめたんです」
「うん、知ってるよ？」
「知ってたの？」
「たりめーじゃん」
当たり前なんだあ！
嬉しい！
「ならいいんです！すみません！」
「あのさぁ、ごめん、用件なんだけどね？」
そうだよね、用事があるから電話かけてくるんだよね。そりゃそうだ。
「はい」
「ニノと連絡つかないんだけど帰ってる？」
「あ、今日は、相葉先輩のおうちに泊まるって……」
「いないんだけど？」
「……え」
「女のとこかな？泊まりってことはあの女かな、ごめん、じゃあいいや」
「はい……」
「またね、おやすみ」
松本先輩が電話を切った。
先輩と話せたのに。
おやすみ、とか。
最高の言葉もらえたのに。
お兄ちゃんが、女の人のとこにいる？
そう思ったら、なんだかすごく嫌な気持ちになった。
私の、お兄ちゃんなのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4374人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なるちゃん(プロフ) - うわーん！ 涙涙、、、 カズくんがお兄ちゃんでよかった！！ (2018年1月29日 10時) (
レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
こずえ(プロフ) - こんばんは。いつも読ませて頂いてます。年の近い兄ってこんな感じなのかなって想像しながら読んでます笑 冷たくしてしまうお兄ちゃん…素直じゃないですね〜 これからどうなるのか楽しみです！ (2016年5月13日 23時) (レス) id: bf5dbd1af4 (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - こんにちは♪お兄ちゃんたらっ///本当に素直じゃないんだからと、悶ております♪今度はいつ、甘やかしてくれるのかしらん♪ (2016年5月13日 14時) (レス) id: c20acea42a (このIDを非表示/違反報告)
梨沙(プロフ) - お兄ちゃんのバカ！でも好きで好きで死にそうです。今日はどんなウィンクで殺しに来るのかと♪(´ε｀ ) (2016年5月13日 13時) (レス) id: e385bf4ae4 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - 我のアホな行動、言動にズドーンと堕ちてた、けど、やっぱり読みたくなってしまう…(T＿T)ｼｭｰﾝ (2016年5月13日 13時) (レス) id: 76d9f58a12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年4月22日 14時
