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課長の送別会。
酔うとただの陽気なおねえちゃんになるはずの私が今日はひたすら絡み酒。
始まって2時間ほどしたら、30人入る個室の和室の中で、各々好きな席に移動してだらだらしてる。
私は課長の近くの席に座って、置いて行くんですね……とか恨みつらみをタラタラ垂れる。
「大野と仲よくやってね」
「うー……課長がいないと困ります」
「大丈夫だよ、Aなら」
「うー……課長がいないとー」
「何唸ってんの！」
課長に、頭をパッコンと叩かれる。
「うー……こんな酷い人でも課長がー」
「次の課長に失礼でしょうが！大野、これなんとかしなさい」
「トイレ行ってこよ」
大野くんがそうキッパリ言ってトイレに立つ。
「まいったねぇ。斎藤くん！」
「僕は無理ですよ！」
逃げ腰になって背中を向けられた。
係長は横の女の子にお酌されてて嬉しそう。
こっちの話きいてない。
「うーん。じゃあ櫻井くーん！」
「はいっ？」
櫻井くんがちょっと離れた席からこっちを見た。
「この酔っぱらいなんとかして！」
「酔っぱらい？誰がですか？」
「こいつ！A！」
「……課長がその人なんとかできないなら僕ができるわけないじゃないですか！」
櫻井くんが珍しく言い返した。
課長が目を丸くする。
「どうした？」
「なんか怒ってます、あの子」
「困ったね、Aのお気に入りなのに」
「……」
「困ったね、Aは大好きなのにね」
「……課長……？」
「困ったね、Aの大好きな櫻井くんなのに嫌われたのかなー。気になるなぁ」
「なんのことでしょう……」
「俺が気づかないと思った？おーい、ちょっと、櫻井……」
慌てて課長の口を両手で押さえた。
「今日は無礼講でしたよね？余計なこと言うなよ？」
「もごもご」
「言うなよ？言わないままさっさとロンドンに行ってよね？」
「んー？おうしおっああー」
どうしよっかなぁ？とか言ってる！
「課長？私の気持ちを弄んで楽しい？」
「うー！」
殆ど馬乗りになろうかって勢いで課長の口を封じてたら、後ろからひょいっ、と両脇に手を入れられて課長から離された。
「チーフ！やりすぎです」
「へ？」
振り返ったら櫻井くんが私を見下ろしてる。
「そんな酔ってんの？」
しゃがんで私と目を合わせた。
ううう、ドアップ。
キラキラして見える。
恋か？酔ってるからか？
「ふふふふ、いいねぇ」
課長の意味深な笑い声に、睨んでおしぼりを投げつけた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
