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「……」
沈黙。先生は何にも言わない。
「ゆかりさんに好きだよ、って言ってるんだと思いました」
「……」
「先生は私を壊したい、って言ってたのをそのとき思い出しました」
「……うん」
「実際は、私の中の俺、っていう意味だとは全然思いもしなかった」
「だろうね」
先生が私と目をあわさないまま、じいっと考え込んだ。
「だから、……私を壊す手段として、……精神的にぼろぼろにしたくて……私のこと……」
「……」
「どうしてそこまで憎まれるんだろうって、意味がわからなかった」
「うん」
「ゆかりさんのこと好きで、二人は付き合ってたと勘違いした私は、余計ワケがわからなくなりました、だって、口止めする理由なんてどこにもない」
「……ああ、そうだね」
先生が頭を整理するように、ゆっくりうなづいた。
「私をいいなりにするためだけに抱かれたんだと思ったら、ゆかりさんのためだけに、私を壊そうとしたんだと思ったから」
「……」
「先生の思い通りに、壊れて嬉しいんだろうな、って泣きながら帰って……」
先生が、思い出すみたいに、俯いたまま、じっと前を見つめた。
「触らないでって……早く帰って体洗わなきゃって……私の全部を壊して嬉しい？って……泣きながら笑ってた」
「……」
「ふと我に帰って冷静になったお前がさ、大嫌いな男に抱かれたってこと実感してどうかしちゃったのかなあって」
「……」
「ああ、俺、お前はまだ関矢のこと好きなのに無理強いしたんだな、と解釈したんだけど」
落ち込んでる感じで俯く先生の表情が見たくて、思わず立ち上がる。
「無理強いではありませんでした！もしかしたら先生は私のこと好きなのかも、って自惚れてた自分が自己嫌悪で吐きそうでした」
「俺だってお前はもう俺のこと関矢より好きになったんだな、って自惚れてたよ！自己嫌悪で吐きそうだよ、ずっと」
吐き捨てるように言った先生を見て、思わず絶句した。
「……」
「……シナリオ通りに行けば、あとは簡単だったはずなんだよ、お前は俺が初めての男ってことで嫌いも好きも全部の感情を俺に向けるだろうから」
「……はい」
「それが……たとえ、寂しいから、って理由だけでも……傍にいれば関矢のこと忘れるのは時間の問題だと思ってたし」
「……」
ワケもなく、涙がこみ上げてきた。
なにそれ。
人の想いなんて、策や方法なんかで、どうにもならないよ。
ならないはずなんだよ、先生。
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緩雨(プロフ) - 書きざるを得なかったので書かせていただきます。初めまして拙著ですが占ツクで書いている者です。元々古典が好きで特に古事記が大好きなのでこの作品を読んだ時に何この解釈！面白すぎる！って思いました。ホオリ浦島太郎説とか！何回読んでも面白い作品。素敵です。 (2016年12月17日 11時) (
レス) id: 6c357ba693 (このIDを非表示/違反報告)
メイ(プロフ) - こんにちは初めまして。、ツイッターでお見かけしてこちらにたどり着きました！めちゃくちゃ面白かったです。日本書紀と古事記を、しっかり読んでみたくなりました〜。ラップにスサノオとかアマテラス出てくるんで調べたことはあるんですけどね〜！ (2016年9月25日 14時) (レス) id: ec5fe80861 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽雫(プロフ) - すごく面白かったです！hit数もすごいし…。私のとは大違いです>< (2016年7月18日 21時) (レス) id: 69b94135f0 (このIDを非表示/違反報告)
mogmog5(プロフ) - ↓のももさん同様、何度目かの一気読みです！大好きっ！めちゃハマりますっ！！ (2016年5月20日 21時) (レス) id: 6e2edcf52e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - この作品大好きすぎて何度も読み返してます！一回目読んだときは気づかなかったけど、俺様翔さんの主人公への愛が溢れちゃってて、何度もキュンキュンしてます。素敵な作品をありがとうございます！ ぜひ実写で見たい〜！セクシーすぎて心臓がヤバイですけど。。笑 (2016年5月9日 5時) (レス) id: b45d714622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月13日 12時
