6(10/14) ページ7
「とりあえず、そこ、何とかしないと」
松本さんが、私の、破れたドレスの肩の部分を指先でつまんだ。
びくっと体が震える。
「……あ、触ってごめん」
「いえ……」
「とりあえず、ここ何とかしねーと外も出れないでしょ」
松本さんが、何かねーかな、安全ピンとか、せめて輪ゴムとか、とか呟いた。
手で触って確認する。
どうやら、肩の部分が破けていて、鎖骨から腕にかけてむき出しになってるようだ。
カーディガンを羽織るにしても、肩で留めないとドレスがずり下がる。
「すみません……大丈夫です、すみません、ご迷惑……」
「……気にすんな。……未遂？」
「え？」
「何もされてない？」
「あ、はい、押し倒されたとき、たまたま鍵を掴んで、叩きつけて、……なんとか逃げて……だから、大丈夫です」
私を大きな目で見下ろす。
見詰め合ったら、一瞬、眉が顰められた。
少し振り返って、来た道を睨む。
小声で、許せねえ、って呟いた。
「……聞いていい？場合によっては、出るとこ出ないといけないだろ？」
「出るとこ……」
「警察。呼ぶ？」
松本さんの目がキラリと光る。
「あ、……それは……」
「あの男とは友達？……って雰囲気じゃねーな……」
「彼は半年前まで付き合ってた元婚約者です、新婦は私の元友人です」
「……半年前……？」
松本さんが私のドレスの肩を布を重ねて折り返して私の髪に留めていたヘアピンでずれないように挟んだ。
「これでよし。あとは髪だな、下ろせば？」
「はい、」
まとめていた髪をほどこうとして、さっき引きずられた時にヘアアクセに髪が絡まっていたみたいで余計にぐちゃぐちゃになった気配がした。
「あ……」
無理矢理引っ張って、引っかかった髪を引き千切ろうとしたら、松本さんが、待って、って言った。
「……にしてんだよ、貸せ」
松本さんが私の髪に触ってる。
「無理矢理だと髪が切れるだろ」
「いいんです、平気ですこれくらい」
「何いってんの……」
肩越しに、松本さんの体温。
ガクガク震えてた手と足が落ち着いてきたら、今度はこの状況にドキン、ドキン、って心臓が鳴ってる。
「すみません……」
「ありがとう、だろ？お前のせいじゃないんだから」
ああ、優しい。
「ありがとうございます……」
「怖かっただろ、可哀想に」
ぽん、と頭を撫でてくれた。
「大丈夫です……」
「大丈夫じゃない奴こそ、大丈夫だって言うよな？」
松本さんが、は、って苦笑いした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4700人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年10月13日 10時
