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ああ、彼氏出来た？って聞かれて言葉を濁したま、まだ誤解を解いていなかったんだ。
お互いの恋人の事は、禁句のようになっていて、探りあうこともしなかった。
「ああ、本命は松本さんだよ……なんてね」
「彼氏が浮気相手？お前そんな奴には見えねーんだけど。周防さんのこともさぁ、どう思ってんのお前」
「周防さん？最近見ないなぁ……生きてるのかしらー」
「……奥さんとより戻したこと知らねーのかよ」
「……あ！そうなの？よかった！」
「よかった？」
松本さんがイライラしてる。
「俺が説得したんだよ、奥さん大事にしろって！」
「え？なんでそんなこと」
「お前の罪悪感をなんとかしなきゃとお前ずっとモヤモヤしてるだろーが」
「……」
「それにあの男、お前にストーカーとかふざけやがって」
「え？……どうして怒ってるの……？」
「お前は何でそんな平然としてんだよ？」
まずい。
色々噛み合ってない。
「松本さん……？」
「ああ、ごめん、つい。熱くなった」
「……」
「お前も彼氏と別れろよ」
なんでこんなこと言われるんだろう。
彼氏なんているわけないじゃない。
……え、待って。
今、お前も、って言った？
「松本さん……？」
「何？」
「彼氏と別れろ、って、え？」
「今からちょっと会える？」
「え、でももう、こんな時間」
「お前んち、何階だっけ？ここから見える？」
え！
思わず、がばあ、っと体を起こす。
「今うちのマンションの前？」
「の、近くにいる。路駐」
「え！」
慌てて鏡を見る。
すっぴんだ！
「えっと、でも、すぐ行く！」
「でもってなんだよ」
あはは、って笑い声。
「すっぴんだし、パジャマなの！」
「いいよ、そのままで」
「通報されるよ！」
「すっぴんが？」
「ちがう！パジャマが！」
「透け透けだったり？」
「くまさんのもこもこで短パン！」
「くまさん……胸についてたりすんの？ニノが着てたみたいな」
「……まぁ、そんな感じの！」
「マジで！」
電話で話したまま、上のもこもこは諦めて、大急ぎで短パンからジーンズに履き替えて、大きいマフラーでぐるぐるまきにした。
「今行く！」
「はえー！」
もう寝てる両親を起こさないようにそおっと外に出て、静かに鍵をかけて、そこからは猛ダッシュ。
「えっと、エントランス？公園側？……他のマンションが横にある？」
「え？入口3つあんの?多分公園側」
「探す！えっと、待って！」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年10月13日 10時
