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ももちゃんが、なんの自慢よ、ってケタケタ笑ってレタスをかじった。
しばらく無言でランチを頬張って、ももちゃんがふと手を止めた。
「で、どうするの？」
「なにが？」
「あんた今会社では女の敵になりそうなんだけどどうすんの？二次会に乗り込んで略奪した女になってるよ？」
「……略奪？いらない、あんなの」
「いらなくても返ってきちゃうかもよ」
「結婚したんだから添い遂げろよ！って返品するよ！」
「周防さん年収だけはそこそこ貰ってるし顔も松潤には劣るけどイケメンだし悪くないじゃん」
「ももちゃんにあげるよ！」
「絶対いらねー！」
笑いあってたら、ももちゃんがふと外に目をやった。
「笑い事じゃない」
「ん？」
「後ろ」
カフェの窓の外にいたのは、周防だった。
私の方を見て、にっこり微笑んだ。
背中がゾッとした。
「A」
店の中に入ってきた周防を見て逃げようと思ったけど逃げ道もなく、固まるだけ。
動けない。
「何しに来たの」
ももちゃんが私の代わりに睨んでくれた。
「見てよ、この額。全治一週間だって」
「……正当防衛だけどね？」
「訴えたりしたくないからさ、ちょっと話だけでもさせてよ？」
「……訴えるのは私の方よ！」
「じゃあ、示談で？どう？今日仕事終わったら少しだけ話したいんだけど」
ももちゃんを見たら、やめとけ、って首を振った。
「嫌よ」
「じゃあ訴えていい？」
「……」
「ことを大事にしたくないからさ、これで最後にするから」
やめときなさい、ってももちゃんがずっと首を振ってるけど。
「最後？」
私の言葉にももちゃんがバカ、と言った。
「最後」
「なら、いい。その代わりもう一人誰か呼んでよ、私も誰かを」
「私付き合うよ」
ももちゃんが言った。
「了解。じゃあ、仕事終わったらいつものカフェで待ってる」
いつもの。
待ち合わせに使ってた、駐車場があるカフェ。
いつもの、でわかる自分が嫌だったけど、どこ？とか聞き返すのも面倒で頷いた。
店員さんに、ああ、ごめん、もう出るから、と微笑んでスマートに店から出て行った。
「なんでうんって言ったの！」
ももちゃんが怒る。
「私、周防の口から一度も言い訳も謝罪も聞いてない、謝られたのはあの子だけだもん」
『Aごめんね、周防さん奪ってごめんね、許してもらえるとは思ってないけど、好きでどうしようもないの、ごめんなさい』
あの子の声が記憶にまとわりつく。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年10月13日 10時
