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「妊娠が……うそ？」
「うん。遅れてただけなのをいいことに」
「だって検査薬……」
「周防さんには見せなかったんでしょ」
「……だって……エコーの写真とか……」
「そのへんは知らないけどさ。周防さんがAと別れて結婚決めたんならあとは流産したとか言えばいいじゃないの」
指がプルプル震えた。
そこまでして欲しかったの？周防を？
「って話をこっそり聞いたんだけど、そこまでして欲しいのか？あの男を？って思ったら段々憐れに思えちゃって」
「……」
「あ、ごめん、元カレなのに」
「全部ウソ？」
「……うん」
周防は、もしかしたら、その事を全て知った上で、私に謝りたかったのかもしれない。
半年前。
妊娠したって聞いて、頭が真っ白になった。
子どものために、罵倒してさっさと別れてやったのに。
ただの浮気だったら周防の言い訳も聞いてあげられたかも。
別れただろうけど、あんなゴミ以下、じゃなくてさようならを言えたかもしれなかった。
で？
そこまでして奪った周防と離婚とか。
成田離婚ならぬ二次会離婚ってなによ。
「食べよ？」
ももちゃんが、ふぅ、とため息を吐いた。
「どこに怒りをぶつければいいのかわかんない……」
「だね……」
「私が何に対して腹を立ててるのかもわからない……」
「……」
「周防さんと別れたくなかったのかな、私。そんなわけ無い、だからこんなに腹が立つ理由もわからない！」
「……」
「周防さん、私のことすっごい好きだったのに何やってんだバカ」
「なかなかのセリフよね！」
ももちゃんが笑う。
「私の親友孕ませといて、私と別れたくないって泣いたんだよ？あいつ！」
「……妊娠は狂言だったけどね」
「別れる以外の選択肢あった？」
「ないよね」
「子ども堕ろせ？産んで一人で育てろ？どちらにしても最低の男のいうセリフ、それを言わせたくなかったから暴言吐いて別れたのに！」
「……ちょっとは好きだった？」
「当たり前よ！嫌いな男を親に会わせたりしないわよ！」
ああ、大声で泣きたい。
今更なによ。
「謝りたいって言ってたのに鍵の先のとこ眉間に刺さるように殴って悪いことしちゃった」
「今更謝られてもねぇ……」
「やっぱり私じゃないとって言ってた。久々に会って嬉しかったんだろうなアイツ」
「すごい自信ね……」
「松本さんに守られてる私を見て戸惑ってた、ざまあみろ。松本さんはね！お前とは格が違うんだ」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年10月13日 10時
