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翌日仕事に行ったら、周りの様子が変だった。
何事よ。
話しかけても曖昧に笑ってみんながすぐ離れていく。
午前中針の筵のような状態で仕事をして、お昼ごはんの時間になった。
ももちゃんが慌てて私の元に近づく。
「ちょっと来なさい」
「え！お弁当……」
「今日は諦めなさい」
ああ。海老フライが。
そう思いながらも財布を持って外に出て、
会社の人があまり来ないような、少し高めのお値段設定のカフェに連れて行かれた。
「どうしたの」
「……あんた大変なことになってるわよ、Aが帰ったあと、別に芸能人とか興味ないし私もすぐ帰ったんだけどね？」
「あ、そうなの？」
「今朝会社来たらびっくり。A、自分の親友と浮気した元カレの結婚式に二次会まで乗り込んでぶん殴ったことになってるよ！」
「……」
「やるなら言えよ！手伝ったのに！水臭いよ！」
ももちゃんが全然違うとこで怒ってるんですけど、いや、ちょっと待て。
「ぶん殴ったのはアイツが襲ってきたからよ！」
「襲ってきた？殴りかかってきたってこと？なんでよ！」
「違うの、ちょっと聞いてよ！」
ももちゃんに事の顛末を簡単に伝える。
帰ろうとしたらストッキングが破れてトイレに行ったら周防が追いかけてきたこと。
腕を掴まれて身障者用トイレに引きずり込まれてトイレに押し倒されたこと。
逃げるために、ひっくり返ったかばんの中身を必死で掴んで、たまたま握った鍵を握って殴ったこと。
必死の思いで外に出て、たまたま外にいた人がとても優しくしてくれて、ももちゃんに報告するの忘れてたこと。
「……助けてくれた人……」
「……」
「どんな人？なんか様子が変」
いいよね言って。
別にもう会うこともないんだし。
「嵐の松本さん……」
「あんたの好きな？」
「うん……」
「運命だ！」
「運命……じゃなかったよ、残念ながら……」
「……え？」
「でもまぁ、ドレス破れたのなおしてくれたり……髪がもつれてたのをなおしてくれたり、優しかった」
ももちゃんが首を傾げた。
「よかったね？」
「ん？なんで疑問形？」
「悲しそうだから」
ももちゃんにはわかんない。
自分のものにならなくてもいいから、誰かのものだとは知りたくなかったって想い。
最初から諦めてるけど、諦めなきゃ、って無理矢理好きなのをやめようとする焦り。
傷つくのがわかってて、それでも好きというのには、またそこまでの覚悟もなくて。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年10月13日 10時
