12 ページ13
「あの、実は私、」
「……ん？」
「こんな時に言うの変ですけれど。松本さんのことが好きなんです、ずっと前からファンでした」
「嵐の？」
「もちろん皆さん好きですけど、松本さんが一番、すきで」
松本さんが目を丸くした。
「……」
「すみません、聞き流してください」
「いや、それは無理でしょ」
松本さんが、照れくさそうに笑いながら、運ばれてきたグラスを持ち上げて、ぶつけないように乾杯する。
「いつも謙虚で、真っ直ぐで、ストイックで、時々とっても可愛らしくて、ちょっと不器用なとこも何だかかっこよくて」
「不器用なとこがカッコイイってなんだよ」
松本さんがふふふと笑う。
「あんなことがあってほんと最悪だけど、今こうやって、松本さんと居れることに�壓がってたんならお釣りが来ます！」
「え？彼氏が自分の友人と二股して、その結婚式の二次会に参加させられて、元彼に襲われそうになった不幸なのに？」
酷い言い方されてるけど全然嫌じゃない！
むしろ可笑しい。
「それでもお釣りが来ます！」
「マジで？お釣りがこない不幸ってどれくらいだよ？」
ニヤニヤ。
いたずらっ子の目になった！
かわいい！
「さらに元友人に泥棒猫って殴られて、好奇の目に晒されて会社に居れなくなって自主退職、無職で親に毎日小言言われる、で丁度いい！」
「そんな価値あんの？この時間が？」
「ありますよ、だってもう、今死んでも悔いはないくらいですね！」
「助けたんだから生きてー！」
松本さんが大きな目を細めて、口をにーって横に引いて、楽しそうに笑ってる。
こっちまで幸せになるような笑顔。
「これからも、松本さんをテレビで見るたびに、今日のことを思い出して、毎日ちゃんと後悔しないように生きていきます」
松本さんが微笑みながら、私の言葉を自分の心の中に浸透させるような表情で頷いて、
「そっか。じゃあ、俺も頑張らなきゃな。たくさんテレビに出れるように頑張らなきゃ」
って、言った。
ああ、松本さんって。
なんて言えばいいんだろう。
私の言葉を、キチンと正しく理解して、自分の糧にした。
そういうところが。
そういうところが好きなんです、松本さん。
ワインの香りを楽しんでからひとくち。
夢見心地の時間。
何もかもがキラキラしてて、なんだかほんとドラマのキラキラのシーンに自分が迷い込んだみたい。
「あ、やべ」
松本さんがスマホを見て、あははって笑った。
「どうしましたか？メール？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4700人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年10月13日 10時
