泣けるほどあなたが好き[O] (ページ3)

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「おこってんの？」
「怒ってないけど……」

ソファの隣に座ったら、背もたれのとこに肘をついて、私をぼーっと見下ろした。

「……」
すっごい見られてる。

「なに……？」
「……」

すっ、っと手が伸びて、犬にするみたいに私の喉の下をするんっと触れた。
私が猫ならゴロゴロいうやつ。

「智くん……あの……」
「……ん？」
指先が、輪郭をすーっと辿る。

「なにしてんの……？」
「いや、ここ。このね、ラインがー」
「このラインが」
「いいな、って思って」

う！
不意打ち！
顔がかああっ！と赤くなる。

「……まっか」
「だって！急に！」
「ね、Aってなんでいつもそんななの？」
「そんなって、なに？」
「なんでー、そんな、いつも、わー！ってなってんの？」

不思議そうにじーって見られて、さらにパニクる私。

「好きな人に！そんな見られたら！そうなるでしょ？」
「……わかんない」
「……わからない？」
「え……好き？……ってどういうこと？」

がぁーん！
そうきたか！
そう来たのかぁ！

「……人を……好きになったことがない？」
「……ないかも。この、ここの角度が好きとかはあるけど、なに？見た目の問題？」

じーって見られてるけど
なんだろう、この切なさは！

付き合ってもいいけど。

とか言われて浮かれた私の憐れさに！笑いたきゃ笑えばいいさ！あっはっは！

「突然、誰かに会いたいとか、思ったことないの？」
「うーん……」

私そんな難しい質問しただろうか。
そんな真剣に思い悩むような難しい質問か？

眉間にシワ寄せて、腕を組んで、んんんんん、って悩んでる。

「もういいです……」
「あ」

何かを思い出したかのように目を開けて、
びっくりしたように、おおお、って言った。

「なに？」
「ある！」
「なにが？」
「会いたくなったことある」
「……」

これ私じゃないよね。
聞かなきゃよかったパターン？

「……声聞きたいとか」
「こえ？こえはー、うん。なきごえ」
「泣き声？」

泣かすのか？
女を泣かすのか？

「にゃーって」
「……ねこ？」
「ねこー」

ダメだ智くん意味わかんない！
「人は？」
「人は、別に……」

ないんだ。
そうですか。

「会いたいとか思う前に近寄ってくるし」
「……」

モテモテなんですね、そうですよね。

「てか、なんでこんな話してんの？つまんない。せっかくA見たくなったから呼んだのに」

え？

ええ？

それを！世間一般では！
会いたいというのでは！