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「……なに？」
「こういうところでは、携帯番号とか聞かれたりウザイから彼氏いることにしてたの」
ももちゃんが呻いた。
「……」
「私に興味があるからじゃなくて！私の友達に興味があるんだよ！ハイエナは！」
なるほど。
確かに。友達紹介してって言われることの多さよ。
私も彼氏いないんだけど、私じゃなくて、私の友達がいいんだな、つまり、私は対象外ってことね、みたいなモヤモヤ。
「あー、ごめ……」
相葉さんが、素直に謝った。
「でも、いいんです、いちいち断ればいいだけですし。断りたくない人には教えますし」
「断りたくない人って」
うふふふって笑ってる横顔見てたら、ちょっとだけ、お酒の力を借りて、言ってみようかなと。
身の程知らずにも、聞こえるか聞こえないかのボリュームで、呟く。
「相葉くんに聞かれたら断りたくないですもん」
「……そう言われちゃったら聞きたくなるじゃん」
ああ、これは、もしかして。
もしかしてもしかしたら。
新しく変えたばかりの携帯の中に！今！相葉くんのラインのIDが！
はいったああああ！ごおおおおる！
今頭の中ではカズダンスしながら、スマホにキスして天に掲げてるけど、落ち着いた振りしながら、微笑んで携帯を見下ろした。
「携帯大事にしなくちゃ」
「そうだよ、おてて、べっとべとにしなきゃ飛んでっちゃうもんね」
「携帯もべっとべと？」
「液晶がべっとべと」
ももちゃんが相葉さんの後ろから、お前後で覚えとけよ？借りイチだからな！って感じの顔をして、私たちを二人きりにしてくれた！周りにたくさん人がいるけど！
「あ、から揚げ食べます？」
「わ！やった！俺から揚げすきなんだよね？」
「そうなんですか？ちょうどよかったです、どうぞ」
相葉さんがこっちに来たら、から揚げあげようと思って死守してたんですがね！
よしよし、いいぞ、いい調子だぞ！
「ね、Aちゃんって何歳？」
「内緒です……」
「23歳くらい？」
「え！何かプレゼント差し上げなきゃ！５歳くらい若く見てくださってありがとう！」
「……ええ！そうなの？若く見える！かわいいからわかんないー」
ああ、もう、死ぬ。
家に帰り着かないよ、多分そろそろ死亡。
お父さん、お母さん、先立つ不幸を……
「彼氏いないようには見えないよねー」
「お世辞やめてー！私、ほんともてないんですからー！」
周りのみんなは私の本性知ってるからね！
なんてことはいちいち言わないっ！
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年7月31日 19時
