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「う……うわああん」
ええい、泣いちゃえ。
女の武器使っちゃえ。
私が泣いたら、絶対戸惑う。
相葉くんは男兄弟だから、絶対女の涙に弱いはずなの。
私サイテー！でも笑ってごまかされるよりは全然ましだ！
他のメンバーさんなら、
例えばお姉さんがいるあの３人の方なら、
都合が悪くなったら泣くんだから。泣けば何とかなると思ってんだから。
本気の涙かどうか位見分けつくし。
そう思ってるはずで。
おそらく、そんなお姉さんではないと思うけど、
泣きながら背中とかを思いっきり蹴ってくる姉とか、そういうのは普通にいるし。
例えば妹がいるあの方なら、
あーはいはい、ごめんね？俺が悪かったね。よしよし、これ食べる？とか、
女の涙なんて折れてさっさと謝って、食べ物とか与えたらすぐに止まるものだと知ってるはずで。
泣いても痛くも痒くもない、むしろ女ってすぐ泣く生き物と思ってるはず。
相葉くんだけは女の子を泣かせちゃだめだって育ってきてるはずだし、
私が泣いたらきっと動揺して、どうしようって思ってくれるはず。
ほら。
「え？どうしたの、泣かないでよ、ね？A？」
おろおろ。
おろおろおろおろ。
ごめんなさい。でもちょっと可愛い。
「Aちゃーん？どうして泣くの？困ったな、……A？」
ふんわり抱っこされた！
よし！ああ、私最低。でも幸せ。
「だってさっき、……一番のファンであり、彼女であり、親友でって、それだけで、もう天にも昇る気持ちで嬉しかったのに、……家族って」
「ああ、ごめんね、早まったよね」
「違うんです、嘘でも嬉しくて、あの」
相葉くんが私の顎をくいって持ち上げた。
顎クイきたー！
膝から落ちたい。
必死で足を踏ん張るわたくし。
相葉くんが、私の頬の涙を、手のひらで、ごしごしした。
「こんな嘘つくわけないじゃん！」
「……」
「初めて会ったとき覚えてる？」
忘れるわけ無いよ、新郎新婦はもうとっくに帰っちゃった結婚式の三次会。
女の子が少ないからって同僚に無理矢理参加させられた。
今から友達も来るってーとか言って、そのお友達が連れてきたのは相葉さんだった。
相葉さんを見た瞬間、10年くらいずっとファンなんです、なんていえなくなった。
……あまりのかっこよさに。
お名前はー？とかよくある名刺交換の流れで、俺名刺切らしてて！って言って、名刺あるのかよ、みたいな流れで、うっとりしながら笑ってたら、相葉くんが、私を見て、笑った。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年7月31日 19時
