37、喧嘩 ページ2
「お前、ワタナベ好きなの？」
「好きになれるように頑張る」
「好きな奴となんとかなる方に頑張らなくてそっちを頑張るとか、お前ってほんとバカ」
「うるさいな！」
「付き合うってどういうことかわかってんの？」
「わかってるよ！」
睨み合う私達。
「言ってみ？」
「一緒に帰ったり、デートしたり、メールしたりー」
「小学生か！」
むかつく言い方。
「何よ！」
「お前、好きじゃないやつとキスしたりできんの？」
「……ワタナベくんは急にそんなことしない」
「するよ」
「しない」
「ほんっと、バカ！好きな女目の前にしてなんにもしないわけないでしょうが！」
また睨み合う。
なんで喧嘩してるの私達！
「好きになれる！多分！」
「お前、好きな奴のこと、ずっと諦めらんなかったでしょ？好きなのもやめらんない奴が他の奴好きになれたら苦労しねー！」
「……」
「じゃあさっさと他に好きな奴見つけりゃよかったんだ！時間の無駄！バカの証拠！」
うわあ、ムカツク！
睨んだら睨まれた。
「たまたま告白されたのがワタナベ！ってことは誰でもいいってこと！」
「……」
「誰でもいいって言う女の好きな奴なんて誰でもいい！見損ないました！あーあ！つまんない女！」
「うるさい！あんただってつまんない男だから振られたんでしょ！なんで振られたのかしらないけど！」
「他に好きな奴がいるってバレたんだよ！」
「……はぁあ？」
なにそれ。
なんだそれ！
「サイッテー！なんでバレたの！」
「寝言でそいつの名前いっちゃったの！俺も理由言ったんだからお前も好きな奴の名前言えや！」
「なんでこんなサイテーな奴に好きな人の名前を言わなきゃなんないの！」
「俺とか言わないでね、死にたくなるから！」
おっと、今、和なんか死んじゃえ！って言いそうだった。あぶない。
「ご心配なく。長生きしてください！」
「で、誰」
「誰でもいいでしょ！」
「は？お前なんかワタナベに襲われてやられちゃえ！」
「そのつもりです！」
和がいきなり私の体をぐいっと押さえつけた。
「何！」
ドンって、床に押し倒されて、後頭部がゴチン、と音を立てた。
「……った」
視界に火花が散って、目が眩む。
一瞬息もできなくて、何が起こったのかもわからずに、目をあげたら、和の顔が近づいて、気づいたら、唇が塞がれてた。
キスしてる？
慌てて、暴れて、突き放す。
「いって」
和が私を睨みつけた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年6月10日 0時
