35、最悪 ページ35
「あの、彼氏はいなんだけど、好……」
「待って！」
「ん？」
「今日、雨降ったら告白しようと思ってたんだ」
「うん」
「そしたら、雨が降った」
「うん」
「返事は、いい天気の日がいいんだけど……できれば」
「どうして？」
「喜びにしろ、悲しみにしろ、どっちにしても、ボール蹴れないじゃん。嬉しいときはサッカーしたいでしょ、悲しいときもだし」
あはは、って笑いあう。
「悲しいときはサッカーしたいの？腹が立ってたら？」
「サッカーする」
「楽しいときは？」
「サッカーしてるとき」
「脳みそサッカーだらけじゃない！」
「サッカーと、Aちゃんがしか脳みそに入ってない」
「勉強は？」
「入ってもすぐ出て行く便利な脳なんだ俺」
ああ、お日様みたいな笑顔。
「じゃあ、クラブがあるときに、お返事する」
「そうして。じゃあ、邪魔してごめん」
「うん」
「じゃあ」
何回も何回も振り返って、何回も手を振って、見えなくなった。
私が報われない想いで苦しんでる時に、私を想ってくれてる人がいたんだ。
そう想うだけで、ちょっと幸せな優しい気持ちになった。
音楽室に戻ったら、皆がいっせいに私を取り囲んだ。
「なんだった？告白？」
「うん」
松本くんがなんだか良くわかんない、ういーって声を出した。
「やるじゃん！あいつ超いいヤツだよ！」
相葉くんが、ハイタッチしてきた。
「しってるよ！」
「あ、そっか、席隣だったもんね」
「私、ブラバンの中に彼氏がいるって想われてたみたいで」
「あははは」
大野くんがなぜかいきなり高笑いした。
「笑いすぎ」
「あ、ごめん、Aが女だってことちょっと忘れてた」
「そりゃ、櫻井くんのファイルに智子の写真が入ってるもんね、敵わないけど！」
「俺に勝てると思うなよ」
ああ、なんか意味もなく威張られた。
「どうするの？」
らんちゃんがニコニコして聞いてきた。
「……ちょっと考える」
「まだ返事してないの？」
和が眉間にしわを寄せて聞いてきた。
「うん。返事は晴れてる日がいいんだって。サッカーできるから」
「なにそれ」
「うふふ。へんな子でしょ。おかしいの」
和が不機嫌そうに、チッと舌打ちした。
浮かれやがって。
聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
「おつかれー！」
櫻井くんが音楽室に来て、私達の雰囲気に、ん？と聞く。
「Aちゃんが告白された！」
「誰だそんな物好きは」
櫻井くんが目を見開いた。
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みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
