34、嘘 ページ34
「え？ワタナベくん？」
「うん。告白だ！きっと！」
相葉くんがそういって、二宮くんがあからさまに、はあってため息を吐いた。
あ、そっか。
私、相葉くんのことが好きだって
和まだ勘違いしたままなんだ。
音楽室を出て行くと、ちょっと離れた場所で、ワタナベくんがいた。
ワタナベくんは、三学期の終わりに隣の席になって、色々話したりしてて、ちょっといい子だなって思ってたけど、まさか。
サッカー部で、背が高くて、優しそうな子。
窓を開けて、外を眺めてる。
前髪がふわふわ揺れてる。
ああ、そっか。今日雨だから、クラブ休みなのかも。
「ごめんな」
「ううん、いいよ、どうしたの？」
「あのさ」
「うん」
しーん。
なにこれ。誰も練習してない。トランペットの音が聞こえない。
いつも松本くんの音は絶対聞こえるはずなのに。
櫻井くんは生徒会終わってからくるし、大野くんは多分お昼寝だろうけど。
らんちゃんのピアノの音もしない。
相葉くんの、サックスの音も、最近和が練習してるコンバスの音も聞こえない。
余計なこと考えてたら、んん、って喉を鳴らすみたいな声がした。
「どうしたの？」
「この前さ、彼氏いないって言ってたよな」
「うん、いないよ」
「俺絶対、ブラバンの誰かと付き合ってると思ってたんだよね」
「……そういう関係じゃないから仲良しなんだよ」
「二宮とも？」
なんか、感づかれてる。
わらって、ごまかす。
「和は彼女いるでしょ」
「知らないの？別れたよ」
「うそ……」
「彼女泣いてた。……振られたって、同じクラスだったんだ、彼女と」
「……それいつの話？」
「先月かな？まだ付き合ってるって言ってた？」
「……うん」
「じゃあ、また寄り戻したのかもね」
嘘つかれてたのかな。
ずっと上手くいってるみたいな言い方してたじゃん。
なんかやだな。
もやもや。
嘘つく必要なんてないよね。
どうして？私になんか言われるのやだったのかな？
私が考え込んでたら、ワタナベくんが言った。
「じゃあ、二宮ともそういう関係じゃない、と」
「当たり前だよ、彼女と別れたことすら報告されない薄っぺらい関係だよ」
「じゃあ、……俺と、付き合ってください」
言われると思ったよ。
うん。呼び出されて告白とか、ちょっとあこがれるシチュエーション。
しかもサッカー部とか、なんかもう青春！って感じ。
でも憧れてたドキドキは、
相手が好きな人だったらってことだったんだ。
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みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
