42.暁 ページ45
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駄目だ。亜簾を飽きさせてしまう。哀しませてしまう。迷って迷って迷っても答えは出ない。やっぱり今は男としての意地があるのか、分からない。1度は受け入れたというのに、後のことを考えてしまう。
「A、泣いてるのか？」
「え……？」
黙っていた亜簾が自分から口を開いたと思えば、思いもよらぬ質問をされて自分の頬を触ると少し濡れている。
「嫌だったか、無理強いしてごめん」
違う、悲しませたかったわけじゃない、そうじゃない。嫌じゃない。離れないで、
「俺は何も言ってないだろ、嫌なんて言ってない！」
「A…」
「
亜簾と一緒にここを出られなかったらって考えちまう」
震える手で顔を覆う、自分はどうしようもない男だ。
「Aを見つける、絶対に」
嗚呼、滑稽だ。こんなに彼は真摯にそう言っているのに、自分は見つけられるはずがないと悟ってしまう。でもひと時でも心を落ち着かせるには十分だった。
重ねられた唇に答える。客とは誰とも接吻はしなかった。初めて交わしたのは、いつの日か亜簾が見世に来た時だ。あの時はなんだかんだといざこざがあり、なんとも言えない思いだったが。
実は接吻は慣れていなかったりする。避けてきたのだから。
「はぁ、…っぅ」
苦しそうにしてきたAに対して、ゆっくりゆっくりと口内を動く亜簾の熱い舌。涙が出てきた、でももう亜簾は止まろうとしはしなかった。
「んうぅ…ぁ、ぇんっ」
くちゅりとなる水音は自分の唾液なのか亜簾のものかもよく分からない。顔はきっともうぐちゃぐちゃなのではないか。
しばらくしてやっと離れた唇。息が荒い、身体が火照るように熱い。心の臓の音がこんなに大きく感じるのは初めてだ。
「接吻は慣れてないのか？」
「ぁ、あ…」
Aの小さな返答を聞くと少し微笑む。亜簾は自分の着物の帯をとくとそれなりに鍛えられた身体が露になる。嗚呼、亜簾に抱かれるんだ、とAは改めて思う。今回は薬によってでは無い、はっきりと全て覚えている。愛し合う。
「痛かったら言ってくれ」
そう言って亜簾は自分の唾液で濡らした指がAの下半身に宛がった。
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです！！ (2022年4月29日 18時) (
レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ！お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです！やる気でますね……頑張りますね！ (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです！毎回更新楽しみにしてます！ (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます！ (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛之助
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年2月16日 22時
