41.暁 ページ44
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亜簾はしばらく呆然とAを見つめた。夢なのかと、しばらく信じられず黙りこくってしまった。その言葉は、じんわりと心に染み渡りぽかぽかとあたたかい気持ちになる。
「勿論。約束する、絶対に迎えに行く」
「っ…ぁ、りがとう」
Aは自分の気持ちを言葉にするのが怖いんだろうと、思う。でも伝えてくれたことが嬉しい、しばらくAは黙っていたがもそもそと食事を済ませ、隅に食器を寄せると、亜簾に目線を上げた。
「A、今日は泊まってもいいか?」
「…好きに決めればいい、アンタは客なんだから」
照れ隠しなのか、よく分からないが客と言われたのが不満に思った亜簾は顔を顰める。
「ただの客じゃない、Aの男だ」
「…分かってるよ、でもこっちはそんな普通で居られないんだ…!」
Aは目を逸らして亜簾に言う。
「薬にやられたからって言っても、俺は少し触られるぐらいだと思ってた。はっきりとは覚えてないけど恥ずかしくて亜簾様の顔が見れないんだ」
「…今、抱きたいAを」
顔を紅くしているAがなんとも愛らしくて、勢いで押し倒してしまった。Aもしばらく呆然としてるが、途端に亜簾の言葉を思い出して固まってしまった。
「怖いか?」
「…やっぱり、」
「ん?」
迷っているようだったが、恐る恐るAは問う。
「俺が下の方がいいのか…?」
「…まぁ、…無理強いはしないぞ」
「自分が自分じゃなくなるみてぇで、狂っちまいそうで」
悪い、意気地無しで、と亜簾から目を逸らして呟いた。だが、亜簾の手はAの身体を這い、少しくすぐるような仕草をする。
「ぅ、亜簾さっ」
「ごめん、出来るだけ優しくする。もう我慢が効きそうにない、」
Aは服越しに伝わってくる亜簾の下半身の熱に今更気づいてしまった。Aは行為を始めようと気付いているが、黙っているので肯定されたと確認して、亜簾はAの首筋に噛み付いた。
「く、ぅ…っ」
はぁ、と欲を掻き立てるような吐息が、Aを動揺させる。Aの身体に紅い華が幾つも咲き乱れた。くすぐったいような痒いようなそんな微弱な感覚に煽られる。
「待て…!」
Aは亜簾の肩を押し退いてしまった。こんな動揺したのは初めてだ。こうしても結局自分がどうしたいのか分からない。嫌というわけではない、だがどうしても留まってしまう。
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです!! (2022年4月29日 18時) (レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ!お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです!やる気でますね……頑張りますね! (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです!毎回更新楽しみにしてます! (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます! (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛之助 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時:2019年2月16日 22時