18.雪月花# ページ21
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「っ客が言ってた」
「そうか、寂しいとか言ってくれるのか？」
亜簾は冗談で言ったつもりだった。Aは顔色1つ変えずに嗚呼、寂しいな、と軽く乾いた笑いであしらわれると思っていた。が、Aは自分の心を見透かされたと思って、恥ずかしくてたまらなかった。
「華永野…？」
「こっち見るな」
「あのさ、別に縁談はまだ決まってない。俺は好きじゃないし、そもそも俺は…ッ」
Aは一瞬の期待を抱いていたが、その言葉が出てくることはなかった。亜簾の気持ちを良いように思っていた自分がいたのだ。もしかしたら、もう好いている女がいるかもしれない、さっきの女でも驚きはしない。あるいは恋はもうしないと決めてるかもしれない。
「そう…」
「華永野、また来てもいいか？」
Aは亜簾の声にハッとして、ゆっくり亜簾に顔を向けた。亜簾は少し恥ずかしそうにしていたのを見て、Aはフッと笑い出した。自分の心に確信を持ったのだ。
亜簾のことを少なからず、自分が気に入っていることに、恋や好きだ、とまではまだ分からなかった。だが、Aには十分幸せなことだった。
「嗚呼、来てくれ。待ってる、朝霧も寂しがってるしな」
「…本当か？」
それを言う亜簾は少し頬が緩んでいた。Aは気を取り戻したようでいつものように、妖艶な微笑みで言った。
「俺は嘘好きじゃねぇよ」
「そうか、そうだな。…なぁ、華永野」
社の中で雨宿りをするAに亜簾は近づき、何も考えず背後から抱き締めた。Aは戸惑ったが動揺を隠した。亜簾はAにありがとう、と伝えた。Aの身体は雨に濡れていたせいで、酷く亜簾が温かく感じた。
「どうした、突然」
「いや、気にしないでいい。華永野、これを黙って受け取ってくれないか？」
Aからそっと手を離すと、懐から木箱に入った簪を差し出した。Aはじっと見つめた。だが、亜簾は気恥しそうにして、目を逸らすのだった。Aはそれを受け取るとふ、と微笑を浮かべた。
「ありがとう、亜簾様」
亜簾はほう、とため息を吐くとそこに女の呼ぶ声が一つする。亜簾様、亜簾様と呼ぶ声が響く。Aは若葉だと察するとすぐに見世の方へ戻って行った。
「待ってるよ」
亜簾にそっと言葉を残して、
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです！！ (2022年4月29日 18時) (
レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ！お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです！やる気でますね……頑張りますね！ (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです！毎回更新楽しみにしてます！ (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます！ (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛之助
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年2月16日 22時
