…32 Love ページ32
桜side
ある日の朝。
春の心地が気持ちいい〜と思いながら、崇裕の分のコーヒーを注いでいるとリビングの扉が開いた。
「崇裕、おは((濱田「GoodMorning！」…グッドモーニング。」
元気よく叫んだと思ったら、朝の挨拶か。
それに英語じゃん…。
私、苦手なんだよなぁ。
中学生レベルで止まってるから、話せるかな。
ペラッペラな英語VSたどたどしい英語のバトルです。
「Do you want a cup of coffee？」
濱田「yeah」
「オーケー。」
コーヒーが入ったカップをリビングの机の上に置く。
久々にのんびりとした朝なのに、朝から英会話とは…とげんなり。
そういうのは、私とやるんじゃなくて、のんちゃんとか巻き込んでやってよ…。
目の前で崇裕がペラペラ喋ってるけど、
何を話してんだかさっぱり分からん…。
もういいや、とコーヒーを飲み干して、テレビを見ようとリモコンを取るために立ち上がる。
すると、ガシッと掴まれた手首。
そして、グイッと引かれた体。
気づけば崇裕の腕の中にいて。
「え？なに？waht？」
と問えば、崇裕は、ギューッと抱きしめる力を強くした。
濱田「I love you for all that you are, all that you have been and all that you will be.」
と、耳元で囁いた。
嫌でもわかる。
それが、愛の言葉って。
濱田「(君の全てが大好きだ。これまでの君も、これからの君も。)」
って言った言葉を。
カァーッと顔が真っ赤になって、崇裕を見上げる。
すると崇裕も耳まで真っ赤に染めあげてる。
私達は、数秒見つめ合って、クスッと笑う。
今度は私の番だ。
私はグイッと崇裕の背を押して縮こませてから、
耳元で、そっと。
「You’re the reason I’m alive.」
と囁けば、胸を打たれたのだろうか。
崇裕は、胸に手を抑えたままひっくり返る。
リアクションが芸人さんだ。
「どうだ、参ったか。」
崇裕「参りました…。」
「ふふっ。」
崇裕「んふふ。」
もう幸せで、幸せで堪んなくて。
私は崇裕に抱きつく。
フローリングの床は少し痛いかもしれないけど、それを忘れさせるぐらい、私達は幸せで溢れている。
ロケで傷ついた頬に絆創膏をつけた崇裕。
その頬に優しくキスをひとつ。
また顔が赤くなる崇裕から、離れて今度こそリモコンを取りに行った。
テレビから流れ出すのは、エイト兄さんの『愛でした』だった。
懐かしいなぁ、と思う反面、今の事を歌で表しているような気がして、心にポッと花が咲いた。
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作者名：彩楓 | 作成日時：2021年11月30日 23時
