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ソファに座って机の上にあった、まだ温かいコーヒーを飲む。

どちらも喋らない時間が20分ほど続くと、渡海の方が小さく笑いながら口を開く。


「ククッ なに怒ってんだよ?」

『・・・』

「A」

『・・・』

「A」

『横山先生、本当に辞めるの?』

「『辞める』じゃない。もう辞めた」

『・・・・』

「何だよ? 言いたい事があるなら言えよ?」

『人の命はお金じゃない。』

「金だよ。」

『そんな』

「もういい加減気付け、A。

技術が無ければ人は救えない。自分にその技術が無ければ、人から金で技術を買うしかない。」


論文だけ書いて医局で出世する医者ほど厄介なものはない。論文で患者を救える訳ではないから。

『(それは分かるけど)』

Aは渡海のやり方に納得できない。

辞表と引き換えにさえしなければ、、申し分のない外科医なのにと心の底から思う。


だから、今夜は会いたくなかった。

彼がまた人の命をお金で考えたから。


「帰るんじゃなかったのか?」

渡海が顎で時計を示しながら聞いてくる。

少しの時間だと思ってたのに、もう時間は23時近くになっていた。

『(またこのパターンか)

ここで寝る。』

「へぇ?」

『今から帰って家で寝たら、睡眠時間が足りなくて朝起きれないかもしれないし・・・』

目を閉じて諦めたようにソファに体を預ける。

「寝れると思ってんのか?」

ソファに深く座るAに、渡海が覆いかぶさってくる。

『・・・寝たいんですけど』

「うるせぇ。さっきも言ったろ、俺は眠くない。」

『(それは昼間に寝てたからでしょ!)わたしは昼間寝てない、征司郎と違って』

「猫ちゃんみたいに寝りゃ良いだろうよ」

『猫田さんは特殊なの!!普通は勤務中に寝たりしない!』

「分かったから、ほら」

『ほらって・・・んっ』

Aの反論はキスで塞いで、渡海の手はお構いなしに服の裾から中に入ってくる。


『きゃっ・・・んぅ・・っ』

少し冷たい渡海の手でゆっくりで背中を撫でられると、思わず声が出てしまう。

何とか止めようとAは渡海の腕に手を掛けるが、気にせず手はそのまま上へ上へと迫って来る。

『(うそ?これマジの展開?)』

心のどこかで冗談だろう程度に思っていた考えが甘かったのだと、ブラのホックを外された瞬間になって、ようやく気付いた。

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作者名:water lily | 作成日時:2018年5月1日 0時

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