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患者に全身麻酔がかかり、着々と準備が進められていく

関川先生と垣谷先生が手洗いに行って、少し遅れて世良先生が手洗いに出て行く

『世良先生、ペレが好きなの?』

世良「え? どうして知ってるんですか?」

『サッカーの神様でしょ?』

世良「はい

ペレの【すべては練習の中にある】って言葉がすごく好きで」


だから、縫合セットを貸して欲しいって言って来たのね

『良い言葉ですね』

世良「・・・本当にそう思いますか?」

『ええ、もちろんです。

練習で出来ない事が本番で出来るようになるとは思いませんから』

世良「・・・その通りですよ」

『よく上の先生方がおしゃってますが、【外科医は経験がすべて】だと。

でも、上の先生が経験させてやろうと思わないと研修医に本番はこない』

世良「え・・・」

『あの夜の渡海先生の言動は確かに適切ではない思います

でも、あの経験があったからこそ、もっと練習しようと思ったでしょう?』

世良「(確かに 鬼頭さんの言う通りだ)」

『外科医は命に臆病なぐらいが良いですよ

今日は頑張ってください、世良先生』





関川「それではこれより、オフポンプオンビートによる僧房弁置換術を行う」


モニターを見ながら慎重に進めらていくスナイプ




世良「左心室通過しました」


世良「乳頭筋レベル通過です」


世良「僧房弁に到達しました」


関川「では、人工弁の留置を行う」


関川先生がスナイプのリリースボタンを押して、人工弁を留置する

『今、何か』

グチャっと何かが組織に絡まる音がしたような

実際の心臓に使っている所を見た事がないから、そう思うだけ?


垣谷「どうしました?」

関川「分からん、何かが引っかかったような」

垣谷「人工弁ちゃんと留置されているか?」

世良「・・・心室内に人工弁が脱落しました」


うそ、まさか


ミーティングで脱落した時のシミュレーションはほとんどしてない!

僧房弁置換術がスナイプのおかげで楽に出来るようになったとしても、何か起こった時にリカバリーできない執刀医では意味が無いのに!


ポーン、ポーンと患者の急変を知らせるアラームが鳴る

『宮本さん、生食とアルブミン持って来て!』

宮本「は、はい!」


世良先生が必死に高階先生に呼びかけるけど、モニターからの返事はない

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作者名:water lily | 作成日時:2018年5月1日 0時

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