検索窓
今日:15 hit、昨日:4 hit、合計:254,913 hit

3 ページ17

世良先生の言葉に後輩2人が何の事だろう?と聞き耳を立てるのが分かった

『気にしないでください、大した事はしてませんから』

世良「・・ありがとうございます」


『研修医なのに第2助手なんて、優秀ですね?』

世良「いや、これはそういう人選では・・・。

この前のカンファレンスで渡海先生が僕を悪目立ちさせたから、流れでこうなって」

『今まで何人かの研修医の先生が渡海先生の下についてるのを見ましたけど、』

世良「 ? 」

『世良先生が1番 渡海先生に食らいついてると思いますよ?あの腕を盗めるように頑張ってください』

世良「そんな日が来るんでしょうか・・・。」






「帰りか?」

『っ!! びっくりしたぁ、急に驚かさないでよ』


ミーティングを終えて帰ろうと待合室の中を歩いていると、ベンチに寝そべっている征司郎に声を掛けられて、思わずビクっと体に力が入った


「久しぶりだな」

『1週間も経ってないと思うけど?』

「いいから座れよ」


寝ていた上半身を起こして、隣に座れと顎で指示される


『もう帰るところなんですけど』

「冷たいこと言うなよ」


このまま帰してくれる気はなさそうなので、大人しく隣に腰を下ろす


『この深夜の緊急オペの時、世良先生に何したの?』

「何もしてねえよ」

『じゃあ・・・何言ったの?』


飄々と答える征司郎の横顔を見て、何か言ったんだと確信した

「あいつに人工血管の縫合やらせて、あいつが失敗した

だから「一人殺したな」って言っただけだ」


『研修医が人工血管の縫合なんかまだ出来る訳ないでしょう?

・・・裂傷の縫合すらまともに出来ないのに!』

「だから?」

『だから? 何言って』

「死にかけの患者 目の前にして「できません」は通用しねえ事ぐらいお前なら分かるだろ」


それは分かるけど

『・・・縫合の仕方教えたの?』

隣にいる征司郎を見ると、前を見たままニヤっと片方の口角を上げて笑ってる


『・・・悪い顔ね』

「人から教えてもらおうと思ってる時点で無駄だ」


『世良先生ね、オペ室に来て何て言ったと思う?』

「さぁ? 興味ねぇな」

『練習したいので縫合セット貸してくださいって言ったの』

「あいつはペレになりたいんだとよ」

『ペレって、サッカーの王様の?』

「なんだ知ってんのかよ」

『まぁ名前ぐらいはね、どこが凄いのかは知らないけど』

4→←2



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (172 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
862人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:water lily | 作成日時:2018年5月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。