To love is to suffer (ページ1)

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Be My Last ページ1

これは彼＝山下智久(23)と彼女＝鬼頭怜理(20)が付き合って、間もない頃のお話

ーこの恋は、絶対にヒミツー

車の中から見る街並みは、春が近いからかどこか浮足立っているように見えた。

通り過ぎて行く人の中には、仲良さそうに手を繋いだり、腕を組んだりしているカップルに夫婦。

新学期に思いを馳せているだろう学生さん達、いつもの日常と変わらないのか下を向きながら足早に歩く会社員

車に乗っていればすれ違うのは一瞬だけど、すれ違う人全員に、それぞれの人生がある。

あんな風に手を外で手を繋げれば良いけど、それは叶わぬ夢。

窓から目を逸らして、手元を見るとちょうどスマホにメッセージが届いたところだった。

〈今日、何時に上がる？〉

智くんからのメールに自然と口角が上がってしまう。

《22時に取材が終わるから、家に着くのは22時半ぐらいかな。智くんは？》

〈俺もそれぐらい。行ってもいい？〉

《もちろん！待ってるね》

今日の仕事が終われば、智くんに会える！

「どうしたの？」

嬉しくて、パッと顔を上げると横に座っていたマネージャーから不思議そうに声を掛けられた。

『ううん、後もう少しで仕事終わるなぁと思ったら、ちょっとテンション上がっちゃっただけ』

「今日は5時起きで早かったもんね。明日は9時に家を出れば間に合うから、しっかり休んで。」

マネージャーの崎さんから労いの言葉をもらう。

智くんと付き合っている事は事務所には伝えていないから、もちろん崎さんも知らない。

仕事が立て込んで、どんなに忙しくても細かいケアを忘れずにしてくれる崎さんには感謝してる。

女優としてここまで仕事をもらえてるのは、この世界の事を何も知らないわたしに根気強くいろはを教えてくれた崎さんのお陰だと心から思ってる。

でも、ごめんね崎さん。

この仕事と智くんとの恋を天秤にかけても

きっと答えは出ないから。

今はまだ知られたくないと思っているわたしを許してください。

ー22:20ー
「じゃあ、明日は9時に迎えに来る。怜理、ゆっくり休んで！」

『ありがとうございます、崎さんも！』

自宅のマンション前まで送ってもらい、ドア閉めた。

『鍵どこに入れたっけ？』

マンションの自動扉を通って、エレベーターの前で家の鍵を探す。

鍵を差し込んでから 12Fのボタンを押す。

部屋に入ると帰って来たという安心感に包まれる。