Will you Marry me? 4th season (ページ9)

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ほんの一瞬ページ9

世の中の母親は偉大だなと心底思うようになった

つわりがあっても夫や上の子どもの食事から始まり、他の家事をこなして仕事もしていれば体調不良を表に出さずに仕事をこなして帰って来る

物が散乱した状態のリビングを見ても何もする気力が起きなくて内心自分でも驚いてるけど、それでも何もする気になれない

　妊娠した事により仕事をセーブし始めたけれど、既に決まっていた仕事は自分の都合で断れなくて、つわり真っ最中の時期は仕事も妊娠前と同じ量が入っていた

それでも、その頃の方が楽だなと思うのはどうしてだろう

『やらなきゃ、和くんが帰って来るまでに片付けないと』

もう3時間も前から同じ事を思ってる、思ってるのに体はついてこない

安定期に入って、他人から見てもぽっこりお腹が分かるようになってきた

まだ胎動を感じたことはないけれど、健診の時に「もうそろそろ分かるはずですよ」と助産師さんに言われた

『……大丈夫、大丈夫、ママがいるからね』

まだ見ぬ我が子に声を掛けて、リビングを片付けるためにゆっくりと立ち上がる

和くんは結婚する前も、結婚した後も変わらず、外に飲みに行く事がすごく少ない人だった

「家にいる方がいい」が口癖みたいな人でライブ前やドラマ撮影中の時間がない時に睡眠時間を削ってでも家でゲームをしてるような人だった

わたしがつわりの時は「気持ち悪くなるからご飯は作らなくていいよ」と和くんにしては珍しく外で食べて来てくれたり、結婚してから初めてぐらいでキッチンに立って料理をしたりして気使ってくれた

でも、

つわりが落ち着いて安定期と言われる時期に入ると、和くんの行動が変わった

帰って来ると言った時間に帰って来なかったり、家で食べると言うから夕飯を準備して待っていたら帰って来たのは夜遅くで、和くんからはお酒の匂いがした

そんな事がここしばらくの間で増えていて、気が滅入ってしまう事が多くなった

夕食の準備をしていても、どうせ夜になったら「やっぱ要らない」ってメールが来て無駄になるんだろうなと思って夕食も手を抜く事が多くなった

無気力な体を何とか動かしてリビングを片付けて、気分転換をしようと帽子だけ被って外に出た

夕食の買い物をする前に本屋に立ち寄ってみる事にして

今までは立ち寄らなかったコーナーに向かう

お腹の赤ちゃんの事を考えれば少しは気分も明るくなるかもしれない