Will you Marry me? 4th season (ページ35)

今日:6 hit、昨日:7 hit、合計:375,488 hit

・ページ35

仕事を終えて、家に着く頃には日付が変わっていた

「ただいまー」

玄関から声を掛けるけど返事はない

寝てんのかな？

リビングを素通りして寝室をそぉっと覗いてみると、そこには俺の2人の大事な女の子たち

「ふはっお前、パパ似だな」

ベッドの端に腰掛けると目に入ったのは、横向きに眠るAの手をしっかり握ったまま眠る娘の姿で

どうしたってその姿は自分のAへの執着に似ていると思う

娘の一花は自分の宝物だと思ってるし、もちろん愛してる

でも、

Aの中で常に自分が1番じゃなきゃ気が済まなくって、
たとえ娘相手でもその場所は譲れないなんて、

自分で自分に苦笑してしまう

「今は借してるだけだからな、

早く返してよ、一花」

娘相手でこんなんなのに、この先、男が生まれたらどうなるんだろうな

Aの頬に散らばった髪を梳いて耳にかけていく

その小さな耳にチュッと軽く口付けてシャワーを浴びに行く

「え……まじ？」

シャワーを浴びて、ビールを探しに冷蔵庫を開けて見つけたのはラップにに守られたチョコレートケーキ

箱に入ってないから、たぶん…というか絶対にこのケーキはAが昼間に用意したものだとわかる

ケーキの乗った皿をゆっくりと手元に引き寄せる

そこで初めて、Aは朝から今日がバレンタインだと知っていたのだと気付いた

「だから、何時に帰って来るか聞いたのか」

俺が今日に気付いてない事を見越した上での質問、
今日中に帰って来てと強請られても時間が読めない仕事だから良い返事はできない

帰って来たのは0時をちょっと過ぎた頃、30分とかけずに風呂に入ったから、まだ1時まで随分と時間がある

「…まだ大丈夫か」

物音もしないし、一花の泣き声もしない

今ならまだ間に合う

うちにある時計はリビングに置いてある時計1つだけ、

その時計の針の短針を1つ戻して、一花が起きる前に寝室に入る

部屋を出て行った時と同じように2人はまだ寝ていて、

片膝でベッドに乗り上げる

「よっ…と」

手を伸ばしてAのスマホの電源を切る

これで時間を確認されたら終わりだからな

「A、A、…ただいま」