検索窓
今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:137,553 hit

第26話 ページ29

家入に治療してもらうために、怪我をした釘崎と付き添いで向かおうとしていた真希にAは話しかけた。

「私、頭冷やしてきます。…さっきはすみませんでした」

自分の地雷を踏まれたからとはいえ、真希の妹である真衣に殺意を向けてしまったこと。問題行動になりかけてしまったことを真希に謝った。少し俯いているAの頭を真希は優しく撫でた。

「アレは完全に真衣が悪い。オマエは悪くない。頭冷えたら私達のとこ来いよ」
「……はい」

返事をしたAは手洗場のある方へ向かった。その様子を釘崎は黙って見ていた。
家入のところに向かいながら釘崎は真希に話しかけた。

「ねぇ真希さん。呪力がないって本当?」
「本当だよ。だからこの眼鏡がねぇと呪いも見えねぇ。私が使うのは“呪具”初めから呪いが籠もってるもんだ。オマエらみたいに呪力を流してどうこうしてるわけじゃねぇよ」

虎杖が五条から貰っていた屠坐魔なども、初めから呪いが籠っている呪具だ。

「じゃあなんで呪術師なんか…」
「嫌がらせだよ。見下されてた私が大物呪術師になって見ろ、家の連中どんな面すっかな。楽しみだ」

自分のあり方を環境に惑わされず貫き続ける真希の生き様に、心打たれた釘崎は歩み寄る。

「私は真希さん、尊敬してますよっ」
「あっそ」

話し終わった後、釘崎は先程の真衣の言葉を思い出していた。「五条家に捧げられた贄」、Aがその言葉を聞いて殺意を剝き出しにしたことから、Aのことを指す言葉なのだろう。反応からして良い意味ではないと察しはついた。
釘崎は、同級生であるAについて詳しくなかった。五条悟と親戚であること、術式が強力であること、体術がそこそこできること、うどんが好きなこと。知っていることはまだあるが、それでも少ない。それに、特別仲が良いわけでもない。
それでも、後ろ指を指されているAを見て、放っておくほど釘崎は落ちぶれてはいないのだ。自分に背を向けて去って行ったAの背中が、友である沙織と重なったのだ。勇気を出して釘崎は真希に問いかけた。Aが背負っているものは何なのかを。

「…真希さん、Aは__」
「Aのことは、私の口から詳しくは言えねぇ。アイツ自身が直接オマエらに話すべきことだ」

釘崎の質問の意図を察していた真希は、言葉を遮るように言う。だが、それは決して厳しいものではなかった。

「ただ1つ言えんのは…Aは背負って貫こうとしてんのさ、自分自身をな」

第27話→←第25話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
188人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 原作沿い , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ヨッシー(プロフ) - 内水 眞衣香さん» コメントありがとうございます!五条先生凄かったですね!アニメではまた違う美しさがありました!呪霊側との接触も上手く書けるように頑張ります! (2020年11月15日 11時) (レス) id: 27a5e91788 (このIDを非表示/違反報告)
内水 眞衣香 - 五条先生は目隠しを外したら、雪のように白くて素敵だと思いました。真人も登場して、これからの活躍が楽しみです!^_^ (2020年11月15日 11時) (レス) id: 57a8ad7f5a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ヨッシー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/zyoui1/  
作成日時:2020年11月7日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。